IT導入で農業・飲食が一体に「6次産業化」への期待 DXによってさまざまな産業の垣根がなくなる

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④リモート化は加速度的に進行する

コロナ禍を発端として、あらゆる分野で「リモート化」が進んでいます。ですが実は、リモート化は3つに分類して定義することができます。

(1)「遠隔操作・遠隔制御」のリモート化

コロナ禍で多くの企業がリモートワークを推進した一方、生産現場ではリモートワークが進みませんでした。

実際には、製造ラインの自動化と遠隔モニタリングといったリモート化を進めれば、現場に出向かなくとも遠隔制御や監視は可能なはずです。VUCAの時代における事業の計画を考えるうえでは、現場のリモート化を通じて弾力的な対応ができる体制を作る視点は必須といえます。

(2)人々の「体験」のリモート化

昨今ではリモートミーティングが当たり前のものとなり、多くの人が十分に仕事をこなせる事実に気づいたはずです。

日常においても仲間内でWeb飲み会を開いたりなど、リモートの市民権は確立されつつあります。この流れは、コロナ禍が終息しても完全に後戻りすることはないでしょう。

(3)接触をトリガーとした機器の操作における、「身体的距離」のリモート化

スクリーンの仮想ボタンをタッチ・フリックする仕様を持つ技術の登場により、PCのキーボードを指先で押し込む動作は減少傾向にあります。次いで、音声での操作が可能になり、指紋認証は顔認証にシフトすることで、操作対象に触れる必要が完全になくなりました。

つまりこれは、「操作する人と操作対象の物理的な距離が、技術進化に伴って離れていくリモート化」なのです。

この3つに分類したリモート化の流れは、今後の技術革新とともにさらなる進化を遂げていくことが容易に想像できるかと思います。

SDGsとトランスフォーメーションの関係

⑤SDGsとESG経営

「SDGs:持続可能な開発目標」は、端的に表現すると、「経済的な発展は目指しつつも環境や人権に配慮し、平和で公正な社会を維持し続けよう」というものです。

その代表的なものの1つが、CO2排出量の削減=カーボンニュートラルの潮流です。日本でも2030年までに45%のCO2排出量を抑制するという数値目標が掲げられ、企業に凄まじい圧力がかかっています。

環境配慮に限らず、ファーストリテイリングや良品計画は新疆(しんきょう)ウイグル自治区の強制労働問題で批判を受けました。こうした環境配慮・社会問題対応・企業統治のあり方に関する経営の理想像はESG経営(Environment , Social and Governance)というメガトレンドで捉えられています。

この社会的な要請において、企業はかつてないほどに経営の透明化を求められています。事業活動を可視化する「サステナビリティレポート」の充実に努めながら、株主や投資家とコミュニケーションを取る必要性が高まる、といった不可避の流れもあります。

SDGs・ESG経営を実現するためには、ビジネスのすべてをデータで可視化する必要があることから、DXと密接な関係にあります。サプライチェーン全般にわたるIoT化によってデータでビジネスを可視化し、目標値を定めてPDCAを回すことをデジタル化で効率的に進めていく必要があるのです。

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