IT導入で農業・飲食が一体に「6次産業化」への期待 DXによってさまざまな産業の垣根がなくなる
一方で、ボーカロイドの仮想シンガー、初音ミクが2020年にリアルな会場でライブを行ないました。多くの観客がペンライトを振って声援を送るわけですが、その裏側にリアルな人が存在しているわけではありません。こちらはあくまでもリアルな人間から仮想の人間(のようなもの)に対する仮想交流です。
つまり、「現実世界と仮想世界の境目が、いかに曖昧になりつつあるか」を今後のトレンドの前提として理解する必要がある、ということなのです。
ビジネスでも「業界の境目」がなくなる
③業界の境目がなくなる
ビジネスにおいては、さまざまな「業界の境目」がなくなりつつあります。徳島県鳴門市でIT企業セカンドファクトリーが経営する食品加工場兼レストラン「THE NARUTO BASE」(以下ナルトベース)があります。そこでは規格外の農作物を近隣の農家から買い取り、加工し、レストランの料理として出す一方で、新鮮なままペースト加工・瞬間冷凍を施し、首都圏の契約レストランに直送する「地方型セントラルキッチンの機能」も担っています。
契約レストラン側では、POSで当日の出荷データがオンラインのダッシュボードで管理されており、ナルトベース側とリアルタイムで連携しています。当日の追加補充の必要性や、週次でどのくらい事前に仕込めばよいのか、あらゆる状況が一目瞭然の状態を作りだしています。
ITを用いた1次産業の高度化は、いわゆる「6次産業化」と呼ばれる複合産業の姿ですが、しかし、これは何業と表現すれば良いのでしょうか? IT業、飲食業、食品加工業、農業などの複数の業界をまたぐサービスです。
このように、「業界の境目がなくなること」は当たり前の流れといっても過言ではなく、気づいた企業はすぐさま舵を切ることでしょう。「うちは○○業だから」と言って、こうしたビジネスチャンスを無駄にしてしまうとすれば、とてもナンセンスではないでしょうか。
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