中国の首都の北京で、賃貸オフィスビルの需要が後退している。イギリス系不動産サービス会社のサヴィルズのデータによれば、北京市の大規模オフィスビルで2022年1~3月期に新たに貸し出された面積から退去により返却された面積を差し引いた「純吸収面積」は9万5000平方メートルと、前年同期比42.5%減少。直前の2021年10~12月期比では76.4%の大幅な落ち込みを記録した。
2021年以降、中国政府はインターネット業界に代表される一部の業種に対する規制・監督を強化している。サヴィルズの分析によれば、こうした状況を背景に対象業種の企業が経営戦略を見直し、その一環として賃貸オフィスを返却・縮小している影響が大きいという。
北京市の賃貸オフィス市場において、ネット企業を中心とする「ニューエコノミー」関連企業は最も重要なテナントだった。ネット企業はビジネスの急成長とともに、オフィスの賃借面積を急速に拡大する傾向がある。特に大規模オフィスビルでは、新規貸出面積の吸収にネット企業が大きく貢献してきた。
空室率は上昇、賃料は低下へ
カナダ系不動産サービス会社のコリアーズ・インターナショナルによれば、北京市の賃貸オフィス市場の新規貸出面積に占めるネット関連企業の比率は、これまで50%を超えていた。ところが、2022年1~3月期はこの比率が22%に急降下した。
「ネット企業(のオフィス縮小)に象徴される需要側の大きな変化が、2022年の賃貸オフィス市場に相当な影響を与えそうだ」。コリアーズ・インターナショナルの華北地区の責任者を務める厳区海氏はそう話す。
需要の縮小に新規供給の増加が重なり、北京市の賃貸オフィス市場では空室率の上昇と賃料の低下がすでに顕在化している。サヴィルズによれば、2022年1~3月期の空室率は15.3%と直前の2021年10~12月期より0.3%上昇。平均賃料は1平方メートル当たり月額339元(約6620円)と同0.6%下落した。
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は4月12日
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