三井住友フィナンシャルグループがトップ交代を発表、「次の10年」を占う新体制に
三井住友フィナンシャルグループでは、現在アジアを軸とした海外業務の拡大方針を掲げており、業務純益に占める国際部門の割合を3割(現状は約2割)に引き上げることを目指している。国内は貸し出し需要が鈍く収益の拡大が難しいとみられるものの、國部氏は「国内部門が減って、海外部門が3割になることを望んではいない。資産運用ニーズや相続、資産承継など、国内でも収益を拡大させる余地はある」とした。
そこで関連してくるのが、他の2メガバンクがみずほ信託銀行、三菱UFJ信託銀行という大きな信託機能を持つのに対し、SMFGはそれを持ち合わせていない点だ。
これについて宮田氏は、「顧客、時代の要請を考えながら対応を考えていく」。今年4月に住友信託銀行と中央三井トラスト・ホールディングスの経営統合で誕生する三井住友トラストホールディングス<8309>との関係について、國部氏が「信託銀行とは代理店契約を結んでおり、従来と同様に新しくできるグループとも友好な関係を築きたい」と言うにとどめており、国内では今後の信託業務の拡大展開が1つの焦点になりそうだ。
もう1つの焦点ともいえるプロミス(約20%出資)との関係については、「融資や人的面(社長、企画担当役員は三井住友出身)など、従来通り必要な支援は行っていきたい。同社の持つノウハウは高く、将来的に三井住友グループの重要なビークルとして力を発揮してもらうことを考えている」(國部氏)としており、利息返還引当が業績の重しとなっている中、11年度以降にどこまで業績が回復するかが注目される。
一方、SMFGでは、トップ交代の当日、グループ戦略をさらに推し進めるため、10年5月の増資で連結子会社化したクレジットカード会社であるセディナ<8258>の完全子会社化を発表した。具体的には、中間持株会社のSMFGカード&クレジット(FGCC)がセディナの完全親会社となり、クレジットカード事業戦略のスピードアップを図るという。
FGCC傘下には三井住友カードも存在しており、すでにセディナとは営業面で連携するほか、次期システムの一本化でも合意している。今回の発表の中で「グループ内の再編等を実施する可能性もある」ことを理由の1つに挙げており、セディナ完全子会社化は、従来の2社体制から、合併などによる1本化も視野に入れた布石ともいえそうだ。