三井物産、モザンビーク巨額投資の大胆不敵 果敢な資源権益への投資戦略の舞台裏
三井物産とヴァーレの関係は、1970年代にブラジルの鉄鉱石企業に出資したのが始まり。03年にはヴァーレの親会社に15%出資。同社の経営評議会へ役員を派遣し、ヴァーレ自体にも間接的に5%出資する。両社は戦略的提携契約を締結、鉄鉱石のほかニューカレドニアのニッケル、ペルーのリン鉱石開発でも協業する“鉄の結束”を誇る。
ブラジルでも資源からインフラへ展開
モザンビークで資源からインフラまで一体開発を手掛けようというのも、ブラジルという前例があればこそ。
三井物産は商社一豊富な約250人のポルトガル語人材を武器に、ヴァーレ以外にも、FPSO(浮体式の海洋石油生産貯蔵積出設備)や同国4位の都市ガス配給事業などを手掛ける。11年には東京23区の2倍の面積の大規模農園を運営するマルチグレインを完全子会社化。全12事業でブラジルにかかわる。14年4月にはヴァーレの貨物・港湾事業であるVLIに20%出資、12月にも225億円を投じて旅客鉄道事業に参画した。
ブラジルでの投資はすぐに実を結ぶわけではない。マルチグレインは穀物価格下落などで今中間期(14年4~9月期)は34億円の赤字。旅客鉄道事業も投資回収には時間がかかるとみられる。
一国への集中投資により、カントリーリスクも高まっている。ブラジルへの投融資保証残高は過去5年で倍増の8636億円まで積み増し、総合商社では突出。そのブラジルは資源ブーム終焉で経済の減速懸念が強い。それでも投資を緩めないのは、資源からインフラへと投資分野に広がりが出ているためだ。
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