三井物産、モザンビーク巨額投資の大胆不敵 果敢な資源権益への投資戦略の舞台裏
純利益に占める比率が7割超と資源一本足の三井物産にとって、インフラなどの安定収益事業の育成は急務。14年5月に発表した中期経営計画では、「7つの攻め筋」を標榜。強みのある資源投資を足掛かりに、関連する非資源事業を育てる戦略を鮮明にしている。
モザンビークでの一体開発投資が動き出す中、14年1月には安倍晋三首相が同国を訪問し、5年間で700億円のODA(政府開発援助)供与を表明した。日本政府と歩調を合わせインフラへ投資することは、モザンビーク政府に対して国づくりの支援を行う意思表示にもなる。
資源価格は下げ止まるのか
とはいえ、資源市況は本当に今が底値なのか。強気の投資戦略を続けていいのか。
モザンビークでの一体開発投資にはまったく別の側面もある。資源市況低迷に苦しむヴァーレは資産売却を進めている最中。だが、鉱山と鉄道を切り売りすれば事業継続にリスクが出る。今回の出資は「戦略パートナーであるヴァーレの救済役を買って出た」(大和証券の五百旗頭治郎シニアアナリスト)ともみられる。
原料炭価格はピークをつけた11年の1トン=330ドルから足元は110ドル台で低迷している。「モアティーズ炭鉱は石炭市況が戻るのを前提にしており、決して安い買い物ではない。ヴァーレや政府への政治的判断が優先され、投資判断基準が甘くなっていないか懸念が残る」(五百旗頭氏)。
原油価格も前期実績の1バレル=110ドルから、足元では50ドルを割る水準まで急落。上流権益に投資する総合商社には向かい風が吹く。円安による緩和効果や原油相場の業績反映のタイムラグに加え、現下のような資源安は一時的との経営判断から、15年3月期には大幅な減損は出さないとみられる。だが、市況下落が長期化すれば来期以降、収益のピークアウトは必至だ。
逆風が吹き荒れる中、資源・インフラを引っくるめたアフリカ投資は吉と出るのか。商社随一といわれる三井物産の目利き力が試される。
(「週刊東洋経済」2015年1月24日号<19日発売>「核心リポート03」を転載)
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