丸紅・国分の提携を実現したキーマンとは? 食品卸の第三極として存在感を高められるか

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創業300年を誇る国分との包括提携を実現した丸紅

「提携を考えませんか」。口火を切ったのは丸紅の食品部門長を務める山崎康司執行役員だった。

向かい合った相手は、創業300年を誇る老舗食品卸、国分の國分晃副社長。次期社長と目される人物だ。東京・日本橋の国分本社でひそかに会談が行われたのは2014年4月。その後、両社は提携に向けた専任チームを作り、月に数回の協議を重ね、包括提携の枠組みを完成させた。

2014年12月5日に発表された提携の骨子は、2015年6月をメドに、国分側は丸紅子会社である菓子卸の山星屋と、冷凍食品卸のナックスナカムラへ出資して、手薄だった分野を補強する。一方、丸紅側は国分のエリアカンパニーの一つとして新設される、国分首都圏(仮称)に資本参加するというものだ。

後塵を拝していた丸紅

食品流通業界では近年、三菱商事と伊藤忠商事の2強が再編をテコに、勢いを増している。2011年に三菱商事傘下の食品卸4社が統合され売上高2兆円を超える三菱食品が誕生したほか、同年には伊藤忠商事も日本アクセスを軸にグループ企業を統合。これらの結果、首位だった国分は、食品卸業界3位に転落した。

三菱商事はローソン、伊藤忠商事はファミリーマートをグループに抱える。三井物産が2%弱出資する、セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン―イレブンとの取引も、日本アクセスが侵食。卸の規模拡大のみならず、川下で成長著しいコンビニへの商流も、三菱商事と伊藤忠の系列が勢力を拡大している。業界の寡占化が進む中、従来から丸紅は、「総合食品卸を持っていないのが弱み」といわれ、後塵を拝してきた。

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