丸紅・国分の提携を実現したキーマンとは? 食品卸の第三極として存在感を高められるか

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このほかに国分・丸紅連合が照準を合わせるのが首都圏流通だ。丸紅が出資を予定する国分首都圏は、成長の余地が大きい首都圏スーパーへの深耕を共同で狙う。今後、丸紅がイニシアティブを取る八社会(東武ストアや相鉄ローゼンなど丸紅出資の流通業者も加盟する私鉄系スーパー連合)へ国分の取引を拡大するなど、これまで競合に明け渡してきた中間流通の取り込みも推し進める。

そして、イオンと丸紅が主導し2015年3月にマルエツとカスミ、マックスバリュ関東の3社統合で誕生する、「首都圏食品スーパー連合」も視線の先にある。マルエツとカスミは、もともと国分が取引量1位を占める大得意先。国分は地盤を固められるほか、首都圏食品スーパー連合で新たに開発するPB(プライベート・ブランド)に、商品を投入する可能性もある。

国分にとって”4番目”の商社

国分が商社と包括提携に踏み切ったのは今回が初のケースだが、互いの資本提携までには至らなかった。2012年に2900億円と巨額を投じて買収した米穀物メジャーのガビロンをはじめ、目下、丸紅の食料グループは成長著しいアジア市場への投資が中心。「資本効率が悪い国内流通に多額の投資はまずできないだろう」(総合商社関係者)ともいわれる。

この提携で、国分は「補完関係には最適の相手」と言いながらも、「丸紅さんとは商社で4番目の提携。お互いにオブラートに包んで話を進められたのが大きい」(奥村氏)と、一定の距離感を重視しているようにも映る。

国分は2012年~2013年、双日や豊田通商と国内外の一部業務で提携したほか、北海道の子会社には三井物産が2007年以来、24.1%を出資している。丸紅との提携によって、商社との全方位外交に変化が生じるのかどうかは、今後のポイントだ。ある食品卸幹部は「丸紅と国分が本気で統合すれば脅威だが、両社の力関係がどれだけ明確になるのか。それがあいまいだと名ばかりの提携で終わる可能性も高い」と冷めた口調で評する。

丸紅・国分が食品卸の第三極として存在感を高めるには、今回の包括提携を機に、事業面でより強固な関係を築き上げる必要がある。

(撮影:尾形文繁)

「週刊東洋経済」12月27日‐1月3日号(12月22日発売)核心リポート02を転載)

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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