丸紅・国分の提携を実現したキーマンとは? 食品卸の第三極として存在感を高められるか
仮に山星屋とナックスナカムラが国分の連結子会社となれば、食品卸としての売上高は日本アクセスを抜き、国分・丸紅連合として、食品卸で第2位に躍り出る可能性も浮上してくる。独立系卸の雄である国分と、大手流通を抱えない丸紅の連合は、「寡占化が進む食品卸の中、第三極として、勢力図を塗り替えることもありうる」と、食品メーカーからの期待も高い。
かねて国分は他社との提携がうわさされてきたが、踏み込んだ形では実現しなかった。それがなぜ今回、丸紅との包括提携に至ったのか。
大きいのは、2014年4月、元ダイエー専務の山崎氏が丸紅に戻ったことだ。丸紅の食料グループ管掌役員は秋吉満副社長だが、財務畑などが長く、事実上、現場を指揮するのは“懐刀”の山崎氏。秋吉氏とは大学のゼミも学年も同じという盟友である。
丸紅が産業再生機構からダイエーを買収した2006年から、山崎氏は役員としてダイエーに出向、商品グループ長を務めてきた。業界内では、「商社でもメーカーや卸に顔が利く有数の人物」との定評があり、ダイエーとの取引が多い国分とも深い人脈を持つ。
国分にとっても渡りに船
丸紅に戻るや否や、國分副社長に提携の話を直接持ち込んだのには、それなりの理由もある。2006年以降もダイエーは業績不振が続き、丸紅は2013年に保有株の大半をイオンに売却した。現在でも、ダイエー向けに年間約700億円の商品供給をする大手取引先だが、イオンに対しては2008年に三菱商事が出資して筆頭株主になっている。
さらに2014年9月、イオンがダイエーのテコ入れに向けて、完全子会社化することを発表。「三菱食品が今後ダイエーとの取引を侵食するのは間違いない」(食品卸関係者)。丸紅は食品業界の川下で存在感を失いつつあった。
独立路線を堅持してきた国分も、厳しい競争環境から、直近では4期連続の経常減益だ。酒類や加工食品に強い一方で、市場の需要が拡大している冷凍食品や菓子は手薄だった。それだけに、丸紅が提示したナックスナカムラと山星屋への資本参加は、まさに渡りに船。「補完関係として組むには最適の相手」(国分の奥村恆弘・取締役経営企画部長)と明かす。
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