「逆オイルショック」で原油は4年ぶり安値 サウジが価格調整役を放棄し、下落加速へ

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11月27日のOPEC総会では減産見送りが決定された(EPA=時事)

原油価格の下落が止まらない。11月27日、ウィーンで開かれた石油輸出国機構(OPEC)総会で、現在の日量3000万バレルの生産目標をOPECが維持し、減産を見送る方針を示すと、市場は敏感に反応した。

12月に入ると、北海ブレント原油先物は一時70ドルの大台を割り、68ドルまで急落。6月のピーク111ドルから4割近く下落し、4年ぶりの水準にまで原油安が進行した。

「オイルプレミアムが剥落し、2011年から続いた100ドル相場が終焉した」とみずほ総合研究所の主任エコノミスト・井上淳氏は言う。

米国が原油供給国へと転換

原油価格下落の要因は需給構造への見方の変化だ。シェール革命で米国が需要国から供給国に転換する一方、消費国である新興国の成長が鈍化。そうなると地政学リスクをハヤして流入した投機マネーも退いていった。

今までは、10年末からのアラブの春や12年のホルムズ海峡封鎖騒動など、産油国の供給不安があった。足元でも、イスラム国の台頭など、供給不安は高まっているように見える。が、反政府勢力との内戦で原油輸出が途絶していたリビアが、輸出を再開。イスラム国が活発に活動するイラクも、油田の多くが集中する南部における影響は軽微で、実際には増産を続けている。

米国のQE3(量的緩和第3弾)終了など投機マネーを下支えしてきた金融緩和の縮小も、夏以降の原油価格の下落に拍車をかけた。

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