「逆オイルショック」で原油は4年ぶり安値 サウジが価格調整役を放棄し、下落加速へ

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これ以上の油価下落は、ベネズエラやナイジェリアなど新興産油国の財政悪化が確実だが、サウジは過去の蓄積で経済基盤に余裕がある。

「米国産シェールとの耐久戦に入るのであれば、原油価格の長期低迷は避けられない。60ドル台前半までもう一段下落してもおかしくはない」(藤井氏)

一方で原油価格の長期低迷は、日本のような石油輸入国にとって恩恵となる。上流権益を持つ総合商社などには逆風だが、ガソリンなど輸送コストは下がる。原油相場に連動するLNG(液化天然ガス)輸入価格が下がれば、東日本大震災以降、火力発電に依存する国内の電力料金引き下げにもつながる。

日本への景気浮揚効果はGDP比1~2%?

日本総研は、足元1バレル=70ドルの原油相場が続けば、アジアや欧州、日本など石油輸入国には、GDP(国内総生産)比で1~2%の景気浮揚効果が出ると試算する。

ただし、その効果がどこまで具現化するかは、不透明だ。ガソリン価格は20週連続で下がり続けているものの、円安の進行で、その効果が相殺されている面もある。

「原油以外に石炭、鉄鉱石など資源価格全般が低迷しているのは、世界経済が後退局面に入っている兆し」(井上氏)という見方もある。

同時に原油安は、米国経済を牽引するシェール開発の後退や新興産油国のデフォルトリスクの高まりなど、新たな火種をもたらしかねない負の側面もそなえている。

(「週刊東洋経済」2014年12月13日号<8日発売>の「核心レポート01」を転載)

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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