日テレ「はじおつ」が海外でバズった真の理由 数十億円の収益化を見据えた「ビジネス戦略」

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一方、Netflixはドラマや映画のみならず、リアリティーショー番組の多様性にも力を入れる方針を進めています。日本で長年にわたり人気を誇り、撮影方法からコンセプトまで独自性のある「はじめてのおつかい」は理にかなうコンテンツであると思われます。

つまり、日本テレビとNetflixの双方が合致した戦略なくして、結果としてバズを生むことができなかったと解釈できます。

「日本の古き良き慣習」が独自性として映る時代。それが海外でバズを生み出した要因の1つにある(写真:日本テレビ)

すでに「はじめてのおつかい」の海外リメイク化は進められています。海外における子ども向け番組の需要は日本以上に高く、ファミリー層にも受けが良い「はじめてのおつかい」は海外で年々契約数を増やしているところです。

2007年にイタリアで現地版が制作・放送されたのを皮切りに、2009年にイギリス、2011年にベトナム、2013年に中国、2019年にシンガポールで現地版が制作・放送される実績を作っています。ベトナムではシーズン6まで続く人気ぶりで、シンガポールでもシーズン3の制作が決定し、ヒットしていることがわかります。

「¥マネーの虎」の成功例

日本テレビ制作のバラエティー番組が海外で成功している事例は他にもあります。「¥マネーの虎」がその代表例に当たります。海外リメイクの展開国は45を超え、世界的にも世界ヒット番組として認識されています。日本国内では放送終了している番組ですが、アメリカの4大ネットワークのABCやイギリスの公共放送BBCなどで今もなお放送が続いています。

これは要するに長期的なリターンが実現していることを表しています。事実、「¥マネーの虎」単体の海外売上は年々増加し、累計で数十億円の収益を生み出しています。日本テレビにとって今回の「はじめてのおつかい」の海外でのバズは、収益化の本番を意味するものでもあるのです。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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