日テレ「はじおつ」が海外でバズった真の理由 数十億円の収益化を見据えた「ビジネス戦略」

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“日本らしさ”は、子どもの「おつかい」に集約されています。日本の特に昭和の時代は子どもの「おつかい」はお手伝いの一種であり、身に覚えがある方も多いでしょう。今の時代は住む場所によっては危険性を伴うものへと変化していますが、番組では地域が見守ることで成立する「日本の古き良き慣習」として紹介され続けています。その味付けとして北海道・函館や福島・喜多方、東京・月島、宮崎・日南などを舞台に日本の原風景や食、伝統がさりげなく伝えられています。それが総じて“日本らしさ”として映るわけです。

過去の放送から「おつかい」シーンを集めた全20話。途中、忘れて遊んだりする幼児の愛くるしい姿に海外の視聴者も夢中になっている(写真:日本テレビ)

ただし、以前は多種多様な文化や習慣が色濃く反映された番組は“異質なもの”と捉えられがち。海外流通するためには手の込んだアレンジが求められました。配信時代に入るとそれが“独自性”へと変換され、海外流通されやすくなっています。さらにSNSを通じて議論に発展していく傾向が高くなっています。実際に「はじめてのおつかい」を巡って、日本独自の背景を持った「おつかい」文化に関心が向けられています。

子どもごとに10分〜20分の尺

また欧米のスタンダードに合わせて番組を大きく作り変えることが必須ではなくなってもいます。Netflixで配信されている「はじめてのおつかい」は過去の映像が十分に活かされています。日本の放送版との明らかな違いは、世界の多くの視聴者が慣れ親しむリアリティーショーのスタイルに合わせてスタジオトーク部分をカットし、1話の尺を主役の子どもごとに10分~20分の見やすい長さに再編集している点のみ。あとはB.B.クイーンズが歌うあのオープニングソングから始まり、日本語のいつものナレーションが流れ、日本独特の色とりどりのテロップもそのままです。英語をはじめとする31言語の字幕付きで提供されています。

「はじめてのおつかい」が海外でバズった要因の2つ目は、その背景にビジネス戦略が組み立てられていたことに尽きます。そもそも日本テレビにとって「はじめてのおつかい」の海外展開の真の目的は当然ながら収益化にあるはずです。この番組の海外展開は今回が初めてというわけではありませんが、世界最大規模の配信プラットフォームNetflixを通じてさらに認知度が拡大し、世界中でリメイク化の機運が高まっていることを日本テレビ海外事業部も認めています。

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