「最近疲れやすい」に隠れている貧血という病 大量の「氷」を急に食べるようになったら要注意

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最近なんだか疲れやすい、こうした症状を放置していませんか?(写真:miSaPhotographer/PIXTA)

最近なんだか疲れやすい、階段を上るとすぐに息切れする。こうした症状を精神的・年齢的なものと思い込んで医師に相談せず、放置している方が多くいらっしゃいますが、実は治療が必要な貧血が隠れている場合がよくあります。

貧血を正しく理解し、早めの治療につなげるためにも、今回は、日常診療でよくみる「鉄欠乏性貧血」と「二次性貧血」について今回はお伝えしたいと思います。

血液の量が少なくなるのが「貧血」?

貧血は「血液の量が少なくなる」イメージですが、実際は血液に含まれる赤血球の量や質が低下した状態です。したがって、出血で血液が失われて貧血になる、という状態は全身をめぐる赤血球の量が減るため、というのが正しい理解です。

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貧血は、採血でヘモグロビン(Hb)の数値が男性は13g/dL、女性は11g/dL以下に低下していると貧血と診断されます。しかしHbの値は男女差、個人差も大きいため定期的に健康診断を行い、普段の値と比較することが重要です。

貧血の原因としては鉄欠乏性貧血が最多であり、日本人女性の10%程度(男性は2%程度)が罹患しているといわれています。このタイプの貧血は、全身に酸素を運ぶ赤血球の色素(ヘモグロビン)の材料である鉄が不足することで赤血球が小さくなって色も薄くなり、酸素を運ぶ能力が低くなってしまいます。

その結果、身体全体に十分な酸素が行き渡りにくくなり、これを補うために血流のポンプである心臓が頑張るようになった結果、少しの運動でも動悸・息切れするといった症状が現れます。そしてこの状態が続くと低酸素が補いきれなくなり、頭痛やめまい、だるさ、疲れやすさといった症状が出てきます。見た目にも変化が起こり、眼瞼結膜(まぶたを下に引くと見える、通常は赤い粘膜部分)が青白くなることが特徴です。

また、ごく一部の方に氷や土を好んで食べるようになってしまう、異食症といわれる症状が現れることもあります。暑かったり喉が渇いたりするわけでもないのに急に氷をたくさん食べるようになったら、それは鉄欠乏性貧血のサインかもしれません。

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