「最近疲れやすい」に隠れている貧血という病 大量の「氷」を急に食べるようになったら要注意

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この貧血は食事での鉄の摂取不足や、女性では生理による出血が主な原因ですが、中には治療が必要な病気が背景に潜んでいる場合があります。代表的なものとしては消化管からの出血が挙げられ、便に赤黒い血が混じる場合は早めに消化器内科を受診しましょう。

また女性では婦人科疾患に注意が必要です。生理時の出血の多さや、不正出血(生理期間以外に出血すること)に心当たりがある場合はつらさを我慢せず、産婦人科を受診してください。婦人科疾患は自覚症状が少ないため貧血から腫瘍の早期治療につながることがあるほか、ピルなどの薬で重い生理を治療できる場合も多くあります。

治療は原因疾患の治療に加え、薬や食事で鉄分を摂ることが有効です。厚生労働省の国民栄養・健康調査によると、日本人の平均鉄摂取量は7.6mg/日であり、摂取目安の約10mg/日と比べると不足気味であることがわかります。

赤身肉やレバーは鉄分の吸収が特によく、またピーナッツや海苔、ほうれん草にも鉄分は含まれます。さらにビタミンCと同時に摂取すると鉄分が吸収されやすくなるため、果物等と一緒に食べるとより効果アップを期待できます。逆に紅茶などにふくまれるタンニンは鉄吸収を阻害してしまうため、飲み過ぎには注意が必要です。

なお、薬での治療は鉄剤の補充となりますが、数日で効果があるものではないため、数週間程度は根気よく飲み続けることが重要です。

「葉酸」はアルコールの飲み過ぎに注意

栄養素の不足による貧血としてはほかに、巨赤芽球性貧血というものが知られています。この貧血はビタミンB12または葉酸の不足によって引き起こされます。ビタミンB12は動物性食品から、葉酸は緑黄色野菜やレバーなどにふくまれており、どちらも厳格な菜食主義などでない限り、通常の生活では食事による摂取量は十分とされています。

しかし妊娠中や成長期にはとくに葉酸の需要が増えるため積極的な摂取が勧められており、出産を考えている方は妊娠1カ月前くらいから食事やサプリメントでの摂取を意識するとよいでしょう。なおこれらの栄養素は胃から吸収されますが、アルコールの飲み過ぎでは吸収効率が低下するため注意が必要です。

そのほか、注意する貧血として「二次性貧血」があります。名前のとおり背景に何か原因となる疾患があるために引き起こされる貧血であり、前述した婦人科疾患のほか、感染症や悪性腫瘍(がん)、膠原病(関節リウマチなど)、内分泌疾患(甲状腺疾患など)、肝・腎疾患が主な原因となります。症状は鉄欠乏性貧血と似ているため、生活を改善しても治らない身体のだるさや疲れやすさ、動悸などを自覚したら早めに医療機関に相談しましょう。

貧血は「なんとなく」だるい、疲れやすいといった症状がメインのため慢性的に放置されがちですが、重大な病気が隠れていることを知らせる身体からのサインかもしれません。いま一度ご自身の体調や生活習慣を見直すことで、早期の治療のきっかけとなれば幸いです。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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