図表1でわかるように、規模別格差は、業種によって異なる。
金融業,保険業、電気・ガス・熱供給・水道業など参入規制がある業種では、平均給与が高いだけでなく、規模別格差も大きい。
それに対して、卸売業,小売業、宿泊業,飲食サービス業、医療,福祉などでは、平均給与が低いだけでなく、規模間の格差も小さい。
これは、金融業,保険業、電気・ガス・熱供給・水道業の大規模企業の給与が高いのは、参入規制による面もあることを示唆している。
ファブレス製造業の生産性は高い
ファブレス製造業(工場を持たない製造業)が登場している。この生産性は、きわめて高い。
その代表がアップルだ。同社が時価総額ランキングで世界トップになっているのは、iPhoneという優れた製品を持っているからだが、それだけでなく、ファブレスによる生産方式を確立したからだ。
日本のキーエンスも、ファブレスによって、高い生産性を実現している。
ファブレス企業は工場を持たないので、従来の定義によれば、資本装備率は高くないだろう。
したがって、「資本装備率が高ければ生産性が高い」という上記の理論は、当てはまらないように見える。
しかし、問題は、企業会計がファブレスに対応していないことにあると考えるべきだろう。
ファブレス企業は、従来の意味での固定資本をあまり持たないかもしれないが、新しい形の無形資産やビッグデータを持っているために生産性が高いのだと考えることができる。
そうだとすれば、固定資産概念の見直しが必要になっていると言える。
従来の経済理論や企業会計のあり方に、根本的な修正を迫る変化が生じているのだ。
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