給料が高い会社とそうでもない会社の決定的な差 規模、業種、労働組合、分配率、生産性を見ると?

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図表3(3-1と3-2)は、製造業と非製造業につき、横軸に資本装備率の対数、縦軸に1人あたり付加価値の対数をとって、企業規模別のデータをプロットしたものである。

両者の間には明らかに線形の関係が見られる。そして、点をつなぐ直線の傾きはほぼ0.5だ。

この結果は、上に述べた理論が予測するところと、完全に一致する。

傾きが0.5であることは、図表2の分配率がほぼ0.5であることと一致する。

経済理論は現実の経済をうまく説明できない場合も多いのだが、この場合には、驚くほどよく説明できる。

なぜ資本装備率が影響するのか?

資本装備率が高いと、なぜ1人あたり付加価値が高くなるのであろうか?

製造業の場合には、イメージしやすい。手作業で製造するよりも、機械を用いて製造するほうが能率は上がるからだ。ロボットを導入して自動化すれば、さらに能率が上がるだろう。

非製造業の場合も、デジタル化によって能率を高めることができる。

1人あたりの売上高を大きくすることができ、規模に関する収穫逓減の法則を克服できるだろう。

これはZoomコミュニケーションが実証したことだ。コロナ禍で需要が急増したが、クラウドでの情報保存を行うことによって、それに対応することができた。

デジタル化のためにはさまざまなIT機器を揃える必要があるので、固定資産が必要になる。だから、資本装備率が高くなるのだ。

◆差が生じるその他の原因(1)フルタイムとパートタイムの差

資本装備率以外にも、規模別、業種別の賃金差に影響を与える要因がある。

1つは、フルタイムとパートタイムの差だ。

宿泊業,飲食サービス業ではパートタイマーの比率が高い。パートタイマーは労働時間が短いので、賃金も低くなる。

これを修正するには、就業者数を「フルタイム当量」という概念で測定する必要がある。

ただし、この補正を行っても、なお格差は残る。

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