田中:弊社の生活総合研究所でもいろんな調査をしますが、女性は非常に不安感が強く、不安の範囲が広いという結果が出る。それはいろんなことに対して問題意識、課題意識を持っているということでもある。いろんな項目について「どこに不安を感じますか」と聞くと、男性はけっこう自分の身近な話が多い。経済、政治、あとメタボとか、自分にかかわること。
女性は国際問題まで、ダーッとリストが長いんですよ。そのリストの長い問題意識が企業のテーブルに乗っかってくると、いろんな疑問が出てくると思うんですよね。その疑問を男性が聞くとうるさいと感じるかもしれない(笑)。でもそれに対して聞く耳を持つ、というのが多様性だと私は思うんです。
日本の会社は99%が日本人
塩野:いままさに多様性という言葉が出ましたが、マネジメントにこれから必要と言われているのが、グローバル、イノベーション、リーダーシップ、ダイバーシティと言われています。世界の社長とかCEOを見てみると、その会社の所在地の国籍の人がトップを務めている割合は、世界平均は83%。裏を返せば、よその国の人がトップを務めるケースが17%ある。でも日本の会社は日本人社長が99%なんですよ。
田中:すごいことです(笑)。
塩野:しかも、おそらくほとんどが私みたいな日本人男性。ダイバーシティからいちばん遠い状況にある。これは変えるべきですか?
田中:企業のトップという話になると、それは「べき」で選ぶものではないと思うので、それは自然に変わっていくんじゃないでしょうか。すなわち、多様な市場をちゃんと見て、いちばん市場を理解できて、先を読める人が経営陣にならないといけない。そうなると、いちばんそれに適した人が経営者になるんじゃないですか。
塩野:まあ、世の中の半分は女性ですからね。
田中:そうなったとき、たまたま経営者が女性ということが増えてくると思います。ただし、いまは過渡期だと思うので、経営まで行ける女性の経験者を増やしている状況だと思います。
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