ポーラ・オルビスが挑む訪問販売と店舗の融合
こうした危機感から80年代に生まれたのが、エステインという業態だ。ポーラレディが自主的に事務所の一角にエステスペースを置いたもので、04年には半数の営業所にエステスペースが併設された。
しかしそれも限界に。事務所は従来、顧客を迎えることを想定していない自宅やマンションの一部屋。目立たないうえにムードもなく、これ以上の新規顧客は望めない。そこで05年から本社主導で始まったのがポーラ ザ ビューティの展開だった。
立地を人通りの多い駅前やロードサイドに移転。エステができる高級化粧品店のたたずまいに刷新した。自宅にポーラレディを入れることを嫌がる女性に顧客層が広がった。
初期投資は本社が、月々の家賃や光熱費は営業所が負担する。「従来よりも投資がかかる業態。それでも利益が出ると実証された」。ポーラで訪販化粧品事業を担当する町田恒雄取締役は話す。訪問販売から一転、店舗展開に舵を切る戦略に、当初は役員からも反対があった。しかし現場は積極的だった。負担を背負ってでも、ポーラ ザ ビューティにしたいという要望は後を絶たない。