ポーラ・オルビスが挑む訪問販売と店舗の融合
ポーラの特徴は、訪問販売独特の流通システムにある。本社と「ポーラレディ」と呼ばれる販売員が委託販売契約を結び、化粧品を販売する。客の中にこれはという人がいれば、ポーラレディになるよう勧誘し、顧客とともに販売員の数を増やしていく。勧誘したポーラレディと自らの売上高の合計が月商150万円に達するとポーラレディをまとめる営業所の所長に、月商1000万円を超えると営業支店長へと成長ステップを踏んでいく。
ポーラレディは総勢12・5万人。この委託販売制度と店舗での販売を融合させたのが、ポーラ ザ ビューティである。
ポーラレディの給料は完全歩合制。ポーラ ザ ビューティという店構えがあっても、自
分で顧客を連れてきて、店頭で化粧品を販売、またはエステをしなければ報酬は入ってこない。その点、家を一軒一軒訪ねる自宅訪問とやり方は同じで、あくまでも“攻め”の営業が基本となる。
「駅前や店先で氏名を書いたチラシを配ってお店に来てもらう。お客様の職場にお邪魔して化粧品を紹介する。どんどん外を回って発信してきなさい」
傘下の営業所が月商8000万円という驚異的な売り上げをたたき出したポーラレディ、本間幸江営業支店長は、こう指導する。
今でも続けているのが自宅訪問だ。何軒も断られながらも、暑い日も寒い日も外を回る。しかし、自宅という顧客のテリトリーに入り込めば顧客との距離は縮まり、店頭に足を運んでくれる可能性は高まる。
「『もう来るな!』とお客様から玄関先で水をかけられたことも。それでも笑顔で冷静に対応して、また次の家を訪問する」(本間営業支店長)。こうして鍛えられた根性が、顧客を店に呼び寄せるのだろう。