大谷翔平の投球が「打たれにくい」科学的な根拠 スライダーの精度が上がった2つの要因

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開幕戦に先発投手兼、指名打者として出場した大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
アメリカのメジャーリーグが開幕しました。エンゼルスの大谷翔平選手は今シーズンどれほどの活躍を見せるのでしょうか。筑波大学でスポーツ選手の動作解析研究を行っている川村卓准教授の著書『大谷翔平 2021年データブック』より一部抜粋し、昨シーズンの大谷選手の投球フォームの「進化」を紹介します。

スライダーという武器を手に入れた

昨シーズン、ピッチャー大谷翔平の活躍の源となった1つが、スライダーを効果的に投げられたこと。次の表は2021シーズンに大谷選手が投じた球種別に、投球数と、その割合をまとめたものである。この表を見ると21.8%がスライダーであり、フォーシームの次に多く投じた球種になる。

『大谷翔平 2021年データブック』より

以前もスライダーを投げてはいたが、引っかけたり抜けてしまうことが多く、制球力や精度に問題があった。相手バッターからすると顕著に察することができ、カウントを稼ぐボールとはいえなかった。

ところが2021シーズンは制球力が上がり、カウントを稼げたり、ときには勝負球として用いたり、ストライクからボールになるスライダーで空振りを取るなど、精度の高い球種となった。

スライダーの精度が上がった要因は大きく分けて2つある。1つは腕の振りがコンパクトになった投球フォーム。もう1つはトミージョン手術からの回復度合い。この手術をすると、ボールをひねることに抵抗を感じる選手が多く、無意識に体が拒否反応を起こしてしまう。ところが2021シーズンの大谷選手はそれがなくなり、不安を感じずにひねり系のボールを投げられるようになった。それが表れているのがスライダーだけでなく、カーブを効果的に投げていたこと。

いずれにしてもスライダーが制球できるため、90マイル(約144.8km/h)前半のフォーシームと組み合わせられるようになった。そうすることでバッターが差し込まれたり、ファウルになったり、見逃しを取れるようになってきたのだ。これに以前から制球力が高かったスプリット、75マイル(120km/h)前後のカーブを交えることで、投じるボールの予測ができないピッチャーとなった。

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