知られざる「スポーツドキュメンタリー」名作9選 見たことのない競技や選手に出会える醍醐味

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スポーツドキュメンタリーの魅力に迫ります(写真:8x10/PIXTA)
スポーツドキュメンタリーはその作品性の高さのわりに、ドラマのように名作が後々まで語り継がれるということが少ない。むろんその歴史のなかには異色作、隠れた傑作も少なからずある。宮崎美紀子GALAC編集委員に、記憶に残る<極私的>名作の一部を回顧してもらった。

ミャンマーの伝統的格闘技の危機に立ち上がった元王者

スポーツドキュメンタリーとひと口に言っても、さまざまなスタイル、切り口がある。最も視聴者のニーズが高いのは、オリンピックやサッカーのワールドカップ、プロ野球日本シリーズなどのビッグイベントの前後に放送される有名選手、チームの密着もの。

『GALAC』2022年5月号の特集は「スポーツドキュメンタリーの醍醐味」。本記事は同特集からの転載です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

この冬も北京五輪前に男子フィギュアスケート日本代表やスピードスケート・高木美帆のドキュメンタリーが放送された。メジャーリーグの大谷翔平、引退直後の白鵬を取材した番組も、この類だ。

今しかないタイミングで、みんなが知りたい人物、競技を掘り下げたこれらの番組はスポーツドキュメンタリーの王道中の王道。でも、そんな番組しか見ないのは、もったいない。まったく興味がなかった競技や、見たことも聞いたこともない選手に出会えるのが、実はスポーツドキュメンタリーの醍醐味なのだ。

その1つが、WOWOW「ノンフィクションW」で2013年11月8日に放送された「世界一危険な格闘技・ラウェイ ミャンマー新時代に揺れる魂の挙」

ラウェイはミャンマーの伝統的格闘技。肘打ちあり、頭突きあり、グローブをはめずバンデージを巻いた拳で打ち合う。放送当時、ミャンマーは軍政から民政に移管し、国の形が大きく変わっていた。変化の波は格闘技にも及び、ミャンマー政府はラウェイの有力選手を引き抜き、国際的に通用する新格闘技「ムエ」に転向させる。するとスポンサーが離れて大会が行われなくなり、子どもたちも見向きもしなくなった。

そんなラウェイの危機に、41歳の元王者が立ち上がる。まるでスポ根漫画だ。昨日まで名前も知らなかった格闘技なのに、すっかり腹が出た元王者の挑戦に手に汗握って興奮した。

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