ジョブ型雇用は「学歴重視」の流れを呼び寄せるか 優秀さを自負する学生は学歴軽視に納得できず

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以上をまとめると、「人事部門は新卒採用・中途採用・評価において、現在も学歴をあまり重視していないし、ジョブ型雇用になっても大きく変わらない可能性が高い」といえるかもしれません。

ただし、少数派ながら「今後は採用で学歴が重要になる」という見解がありました。一つは、優秀な学生を採用するために学歴を重視せざるをえないという予想です。

「いま当社では、東大卒でも三流大卒でも、同じ大卒なら初任給はまったく同額です。自分は優秀だと自負する学生にとって、これはちょっと納得できないでしょうね。電機業界ではAI人材などの獲得競争が激化しており、学歴や資格を重視するように検討を始めています。もちろん、世間の反発を招かないように工夫する必要がありますが」(電機)

大学、社会人大学院が変われば学歴重視に?

もう一つ、学校教育が進化し、スキルを見る指標として学歴が重要になる可能性があります。

「いま学歴を重視していないのは、大学で身に付けたスキルなんて大したことない、という前提があります。ただ、京都工芸繊維大・会津大・国際教養大といった大学の学生は、即戦力ではないものの、実にしっかり勉強しています。こうしたしっかり勉強する、特徴のある大学が増えれば、学歴重視も悪くないのではと思います」(素材)

「当社では、以前はMBAを取る従業員は変人扱いでした。しかし、経営幹部クラスでMBAホルダーが増え、見方が変わっています。日本でもリカレント教育(社会人の学び直し)が普及し、社会人大学院でもっと実践的な教育が行われるようになったら、中途採用で学歴を重視するのは大いにありだと思います」(商社)

学歴を軽視してみんな仲良く学習しない日本と、より高度な仕事・高い報酬を目指して学習するアメリカや中国。どちらが発展するか、言うまでもないでしょう。ジョブ型雇用への転換をきっかけに、社会人が学習・成長し、より高度な仕事をし、企業が発展するという社会にしたいものです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。

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