ジョブ型雇用は「学歴重視」の流れを呼び寄せるか 優秀さを自負する学生は学歴軽視に納得できず

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学歴について世間が騒いでいることに、人事部門関係者は違和感を持っているようです。さらに「学歴を軽視する日本は特殊な国」という意見もありました。

「当社の場合、国内では、高卒・大卒・大学院卒の初任給の差は月数万円と、微々たるものです。おそらく他社も同じでしょう。一方、欧米やアジアの拠点では、学歴による賃金格差が何倍もあって、なんと日本は学歴を軽んじる国かと痛感します」(機械)

新卒採用では潜在能力や人間性を重視

では、将来、日本企業でジョブ型雇用が主流になったら、学歴の扱いはどうなるのでしょうか。採用と評価に分けて見ていきましょう。

まず、新卒採用から。現在の新卒一括採用では、事務系・技術系といった大きなくくりで採用し、入社後に人事部門が各人の適性を見て配属先・勤務地・担当業務を決めます。採用段階では、スキルよりも潜在能力や人間性を重視し、面接でこれらを確認しています。

これがジョブ型雇用になると、企業は募集段階で入社後に担当してもらう職務や勤務地を提示します。採用面接では、学生がその職務を担うだけのスキルがあるかどうかを見極める必要があります。ただ、職業経験がない学生はスキルがないので、潜在的なスキルを確認するには、どの学校でどういうことを学んできたかが重要な指標です。

つまり、ジョブ型雇用になると、新卒採用では学歴、正確には何を学んだかという「学習歴」が重視されるようになると考えるのが自然でしょう。実際にジョブ型雇用が一般的な欧米では、入社後の職務を示し、学校・学部・専攻を指定して新卒採用することが行われています(日本でも技術系の大学院卒は現在もそれに近いですが)。

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