ジョブ型雇用は「学歴重視」の流れを呼び寄せるか 優秀さを自負する学生は学歴軽視に納得できず

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しかしこうした考えに対し、ヒアリングした人事部門関係者は否定的でした。「当社はジョブ型雇用を導入してから、新卒採用でもできるだけ入社後の職務を示すようにしています。ただ、弁護士を取ったとか大学院でAIを専攻したといった学生はともかく、即戦力でない大半の学生の希望を全面的に受け入れるのは困難です。入社後に会社が配属先や担当業務を決めるという原則は変えていません」(通信)

「会社に入ったら、最初の数カ月で大学の4年間で学習した以上のことを学び、スキルも関心も大きく変わります。何も知らない学生の要望を受け入れることが、本人にとっても良いことなのかどうか。といっても、職務を明確にしないと学生から敬遠されますし、厚生労働省が明確化を企業に促すようなので、悩ましいところです」(エネルギー)

以前と比べて日本の学生は熱心に学習するようになっているとはいえ、学生が会社に入ってすぐに通用するスキルを身につけるのは困難。新卒採用で企業が大学・学部・専攻よりも潜在能力や人間性を重視するという傾向は、さほど変わらないでしょう。

中途採用では経験を重視

次に、中途採用を見てみましょう。企業は中途採用において、現在でも応募者の前職での経験を重視し、学歴をあまり気にしていません。中途採用についてはすでにジョブ型というわけで、多くの人事部門関係者が「今後も変わらない」と予測しています。

「30代以上の中途採用は即戦力を期待するので、前職での経験・実績からどういうスキルが形成されたかを面接で確認しています。第二新卒では、新卒採用と同じく、潜在能力を重視しています。前職が学歴とあまりにもかけ離れている場合、経緯を確認しますが、学歴はその程度の扱いです」(建設)

社内での評価はどうでしょうか。現在、大手企業の大半が職能資格制度、つまり能力の評価を中心にしています(そしてジョブ型への転換を検討しています)。とくにメーカーでは「年齢が上がるほど熟練が増す」という前提にしたがって、年功序列の制度運用が行われてきました。

これがジョブ型雇用になると、職務の難易度をランク付けする職務等級制度が中心になります。従業員にどの職務を担当してもらうかは、経験・スキルを評価して決めます。また、業績の評価は、出した成果によって決まります。いずれにせよ、学歴は関係ありません。

「当社では、若手の評価は、いままで通り職能が中心ですが、30代以降は実績が中心です。また、結果だけでなく行動プロセスも評価する仕組みになっています。いったん入社したら、学歴なんて気にしません。飲み会の席以外では話題にすらなりません」(金融)

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