東大卒落語家が「寝てない自慢芸人」を羨まない訳 人生で最も尊い「たこ焼きを食べる時間」の幸福
「年収マウント」「学歴マウント」という言葉がありますよね。インスタグラムでリア充であることをアピールしたりもします。「忙しい自慢」や「寝てない自慢」もあります。芸人にとって、暇なことは、売れていないという意味になりますから、そうなる訳です。
でも、忙しければいい訳じゃないでしょ、とも思うのです。限られた人生の中でどうするべきなのか。僕自身、忘れていたことを再認識しました。
人生の総ハピネスは「日々のユーティリティ×時間」
落語家は、稽古することが仕事です。僕は、1日16時間稽古しています。そのためにいちばん重要なことは、長期的な視点です。
長期的目標の逆算が今日である。そして、今日の幸せの掛け算が、人生全体の幸せである。僕はそう考えています。
最終的に自分が何をしたいのかという大きな目標があり、それに沿った中期的目標があり、そして、今日は何をするのかというタスクがあります。
そして、タスクを1つずつこなしていって、毎日の充実感や満足感を覚える訳です。大学時代に私が学んだ経済学では、消費者が製品やサービスを使って得ることができる、主観的な満足度をユーティリティ(効用)と呼びます。生活している人、働いている人、学んでいる人の日々のユーティリティというのは、こうしたタスクをこなすことで得られる達成感や充実感、そして幸福感ではないでしょうか。
「日々のユーティリティ×時間」が、「人生の総効用」つまり「人生の総ハピネス」になりますから、「今日1日を大切な日にする」ということが、いちばん大事です。
なかでも、ハッピーは、人間関係によるところが大きいと思っています。僕は、実は、人づきあいが苦手で、1人でもできるからということで、落語家になりました。どこにも所属しておらず、完全フリーですから、上司や部下などの人間関係も一切ありません。やりたくない仕事は断れますから、煩わされるところがなくてハッピーですね。
ただ、人間は1人では生きられませんし、言語でコミュニケーションをとっています。ですから、人間関係は大事です。
落語の世界には、「あっちこっちの落語会に出て、売れっ子で素晴らしいね」という価値観があります。でも、たとえ売れていても忙しい日々を送っていても、それがいつまで続くかは、誰にもわかりません。
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