また、フランスは移民への教育も重視していることから、フランス語を話さない生徒への特別プログラムもある。専門の資格を持ったフランス人教師が、通常の授業に加えて、別途フランス語を教えるというものだ。パリ市内では、全体の1割に当たる約60の幼稚園と小学校が特別プログラムに対応しているという。
フランスのジャン=ミシェル・ブランケール教育相は3月15日、ブリジット・マクロン大統領夫人とともにパリ近郊の小学校を訪れ、ウクライナ難民の児童や保護者と面会。就学の重要性と並び、「子どもたちが祖国との絆を保つことにも配慮しなければならない」と語った。同日までに約800人の子どもたちが、1週間後の22日には、その3倍の約2400人がフランス各地で就学した。
「ウクライナ難民だけ優遇」との声や長期的な課題も
ウクライナ難民に手厚い支援が実施される一方、フランス国内でも、「ウクライナ難民だけが優遇されている」と指摘する声も上がっている。
フランスの主要紙ル・モンドのジュリア・パスキュアル記者は3月12日付の記事で「待遇の違いに直面する非ウクライナ人の絶望」と題し、パリ郊外の移民キャンプで野宿生活を余儀なくされているアフガニスタン人の苦境を書いた。
長期化する難民支援ではさまざまな課題も出てくる。
赤十字フランスの元国際ディレクターで、現在は、ウクライナなどで人道支援を行うNGO団体ソリダリテ・インターナショナル会長のアントワン・ペニェ氏は、「これほど莫大な数の難民が発生したのは、第二次世界大戦以降初めてです。フランスを含め、欧州では現在、宿泊場所の提供などは、多くの市民の善意で成り立っていますが、長期化すると同じようにできるとは限りません。ホストファミリーへの経済的な支援なども必要となるでしょう」と指摘。
さらに「子どもにとってはまったく予期しえなかった事態。トラウマにならないようにケアすること、そして言語面でのサポートをし、学校に行けるようにすることが極めて重要です」と強調した。
未曾有の難民危機に直面している欧州。心に傷を負った子どもたちが少しでも安心して過ごせるよう、迅速かつ長期的な支援が望まれる。
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