日本人留学生Sさんが巻き込まれたパニック
外務省によると、ロシアには昨年10月1日時点で2202人の日本人が住んでいた。ところが2月24日のロシアによるウクライナ侵攻を受け、状況は一変した。
ロシアの地方都市に住む日本人留学生Sさんは、現地の“両替パニック”に巻き込まれた。
「ウクライナ侵攻のニュースを受け、ルーブルの暴落を恐れてすぐに市内でもレートのよい銀行へ両替をしに行きました。到着した時にはすでに行列ができていて、電光掲示板上でどんどん上がっていくドルのレートが印象に残っています。最初は1米ドルあたり71ルーブルだったのが、いつの間にか100ルーブルを超えていました」
Sさんはそう振り返る。
現地ではドルもユーロも日本円にも両替できないパニックに。各地でルーブルも引き出しできなくなるのではないかという臆測が広がり、預金のルーブルを少しでも多く引きだそうと、銀行やATMへ人々が殺到した。その結果、一時はATMの使用も停止になり、ルーブルまで引き出せなくなった。
現地の日本企業で働きながら10年以上ロシアに暮らしているAさんも混乱に巻き込まれた一人。彼女は今回の出来事でロシアでの生活が厳しくなる人々を目の当たりにした。
「国際キャッシュカードを持っている人もいますし、ロシアはキャッシュレス決済が普及しているので、現地の銀行口座を開設しないまま日本から持ってきたクレジットカードを使う人も見かけます。そういう人たちは、現金を引き出す手段がなくなり、さらに大手クレジットカード会社がロシア取引を停止してから、日本のクレジットカードも使えず、食料や生活品すら購入できなくなりました。
現地の日本人界隈では経済制裁の開始後、次々とグループトークが作られ、まだ外貨引き出し機能が残っている銀行ATMや両替所の所在地などの情報交換が活発に行われています。しかしそれも、この数週間で刻々と変化しています」(Aさん)
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