経済安保の推進に絡むあまりに「怪しげな構図」 金融庁、防衛省への「不当介入」に国会で疑義

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国会議員や研究機関が政府の政策に意見をするのは正当な行為だ。だが、藤井氏が國分氏に文書を漏洩した2021年4月27日は、まだパブコメの最中。ほかの100件もの意見、提言をしていた企業や投資家の知らぬところで藤井氏は國分氏にだけ内情を漏らし、国会議員までが動いていた。

多摩大学ルール形成戦略研究所が提言した「経済安保担当の役員の設置」についても山岸議員は「経済安保がわかる経営者は限られる。提言は結果として、藤井さんや國分さんにとってビジネスチャンスを生む。私的利益で政策が歪められていないか検証が必要だ」と主張している。

契約先がデロイトからEYにシフト

藤井氏と國分氏の間には、事業を発注する政府と受注するコンサル企業という「利害関係」の側面もある。

國分氏がパートナーを務めるEYストラテジー・アンド・コンサルティングは近年、防衛省の「ネットワーク機器等のサイバーセキュリティに関する調査研究」や「サプライチェーンリスクの回避に向けた企業支援策の検討」など、経済安保にかかわる事業をいくつも受注契約しているからだ。

ただ、EYが防衛省の事業を受注するようになったのは2019年10月以降のことで、2018年以前にはなかった。3月23日の国会で、立憲民主党の大串博志議員は「あるときを隔てて、ごろりと落札者が代わっている」と指摘し、防衛省が開示したデータを指し示した。「防衛省と『デロイト』及び『EY』との契約実績」だ。

防衛省の契約先2社を比較すると、2019年頃を境にデロイトからEYに大きくシフトしている。落札するまでには入札価格や技術点で競争があるものの、最後は防衛省が「総合評価」という形で独自の判断を入れる。防衛省は「特定の企業の落札を意図したものではない」と大串議員の質問に答えたが、釈然としない。

ほかに考えられる要因として、防衛省は2019年に実施した総合評価落札方式の新基準を挙げた。契約相手方の情報管理体制に関する基準の変更だ。情報保全の強化という名目だったが、この仕組み変更には当時、経産省から防衛省に出向中だった藤井氏が防衛装備庁長官官房審議官という立場で関与していたことを防衛省は認めた。

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