経済安保の推進に絡むあまりに「怪しげな構図」 金融庁、防衛省への「不当介入」に国会で疑義

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この一文を挿入した理由を金融庁は、「パブコメで経済安全保障に関する記述を加えるべきというご意見が複数寄せられたから」だと国会で答弁した。パブコメで寄せられた意見103件のうち、経済安保を盛り込むべきとするものは2件あり「複数寄せられた」という答弁は誤りではない。

ただ、もっと多くの件数のパブコメを集めたテーマはあった。取締役の能力を表すスキル・マトリックスの拡充や女性役員数の増加、気候変動に関する提言については、それぞれ10件ほどのコメントが寄せられていた。コメントが2件しかなかった経済安保のみが差し込まれたのには、恣意的な印象を受ける。

(写真上:EY Japanホームページ、左:共同、右撮影:尾形文繁)

ちなみに2件のうちの1件は、國分氏が所長を務める多摩大学ルール形成戦略研究所のものである。同研究所では藤井氏が客員教授(当時)を務め、甘利氏もシニアフェローとして参画する。パブコメでは、経済安保の視点をガイドラインに盛り込むよう求め、上場企業は経済安保担当の役員を設置するよう提言している。

甘利氏から金融庁に問題提起

ところが事態は3人の思うようにはいかなかったと推察される。なぜなら、当ガイドラインに「経済安全保障」の文言を入れるか否かについて金融庁がNSS(国家安全保障局)に相談をしたところ、「入れたいとは必ずしも考えていなかった」(3月18日のNSS室田幸靖審議官の答弁)からだ。

そこで前出のメールに戻る。藤井氏が國分氏にメールを送った4月27日は金融庁がNSSに相談を持ちかけた、まさにその日。藤井氏は金融庁から受け取った改訂作業中のガイドラインをその日のうちに國分氏に漏洩。「これで明日金融庁が甘利先生のところにいく」というメッセージ内容から、甘利議員の力を使って目的を達成しようとした可能性がある。

金融庁は「国会議員の方々を含め、多数の方と(文言の)調整をさせていただいた」と答弁。甘利議員も東洋経済の取材に「経済安全保障上のリスクが企業経営上のリスクになる場合が大いにあり得ると警鐘を鳴らす必要がないか、と私から金融庁に問題提起をいたしました」と文書で回答した。が、「藤井氏や國分氏から働きかけ、相談はなかったか」という質問に対しては、明確な回答がなかった。

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