岸田政権を急襲「不祥事3連発」に潜む不穏な蠢き 「自民党内の政治的謀略のにおいがする」との声も
オミクロン株感染爆発での後手に回った対応で窮地に立たされている岸田文雄首相に、「文春砲」が暴露した“3疑惑”が追い打ちをかけている。
『週刊文春』と月刊誌『文藝春秋』が2月第2週に、岸田政権の目玉政策である経済安全保障を取り仕切る事務方トップのスキャンダルと自民党京都府連の組織的選挙買収疑惑を、連続的な暴露記事として報じたからだ。
さらに、『週刊文春』は、内閣ナンバー2の野田聖子地方創生・少子化対策担当相の夫が過去に暴力団員だったと認定する東京高裁判決が下されたことの関連記事も掲載した。いずれも、「政権危機を招きかねない火種」(自民幹部)だけに、首相をはじめ政府与党首脳は火消しに躍起だ。
ただ、それぞれの問題発覚の経緯などの裏舞台は、複雑怪奇にみえる。3疑惑を巡る与野党双方の思惑が交錯する中、自民党内の権力闘争に絡めるような不穏なうごめきも見え隠れする。まさに「仕掛け人も結末も予測不能な闇試合」(自民長老)の様相だ。
経済安保の事務方トップを突然更迭
「文春砲」の第1弾は2月8日発売の『週刊文春』が報じた、経済安全保障法案の策定責任者だった藤井敏彦前経済安保法制準備室室長のスキャンダル。藤井氏が恒常的に民間企業での“闇営業”で報酬を得る一方、自らを取材していた朝日新聞の敏腕女性記者との不倫関係を、当事者の写真なども付けて、大々的に報じた。
岸田首相が提唱する「新しい資本主義」の重要な柱とされるのが、政府が今国会での成立を目指す経済安全保障推進法案。ところが、政府は2月8日付で法案策定の責任者だった藤井氏を理由も明確にしないまま更迭した。
2月7日にネットなどで出回った『週刊文春』の暴露記事を重大視した政府が、慌てて藤井氏を更迭したのは明白だ。ただ、松野博一官房長官は2月9日、更迭の理由を「職務を続けさせるのは困難と判断した」としただけで、具体的な理由については「調査中」と繰り返した。
その一方で、突然当事者の立場となった朝日新聞は、2月10日朝刊で、この人事を報じる記事を掲載したが、女性記者の行動については「業務外のことと判断している」との見解を発表しただけ。また、他メディアもなぜか、踏み込んで報じることは避けた。
もちろん、立憲民主党など主要野党は色めき立ち、8日の衆院予算委で事実関係を厳しく追及。とくに、朝日記者への法案内容漏洩の可能性を問題視し、予算案の衆院通過時期も絡めて政府を攻め立てた。にもかかわらず、衆院予算委の審議自体は順調で、自民党は週明けの21日の衆院通過を目指す構えだ。
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