岸田政権を急襲「不祥事3連発」に潜む不穏な蠢き 「自民党内の政治的謀略のにおいがする」との声も
一方、これと同時進行の格好となった「文春砲」第2弾が、2月10日発売の月刊誌『文藝春秋』3月号で報じた自民党京都府連の選挙買収疑惑だ。同府連が2014年衆院選など国政選挙の前に自民公認候補者から一定額の現金を拠出させ、それを同党の府・市議会議員に各50万円ずつ配布していたことを「マネーロンダリングによる選挙買収」と指弾した。
こちらも、野党はただちに衆院予算委で追及。同府連前会長の二之湯智国家公安委員長は、同府連への現金寄付や府連の府議らへの現金配布を認める一方、組織的な買収疑惑は繰り返し否定した。また文春がマネーロンダリングの「発案・首謀者」と名指しした同府連会長・西田昌司参院議員も「適法な処理で、疑惑はまったくの事実無根」と同誌に強く抗議した。
ただ、事実上の選挙買収を認めるような同府連幹部作成の「引継書」も同誌は入手したとしている。さらに、同府連所属だった元自民衆院議員が文春の取材に対して選挙買収の実態を事実上認めたこともあって、疑惑払拭は困難な状況だ
地方議員に現金を配布して選挙応援させるという構図は、2019年参院選広島選挙区での河井克行元法相・案里夫妻(いずれも有罪で議員辞職)の選挙買収事件と、ほぼ同様な手法にもみえる。このため、立憲民主、共産両党などは「自民党は全国で同じようなことをやっている」と追及を続ける構えだ。
野田聖子氏の夫が「暴力団員だった」と東京高裁が認定
一方、野田氏の夫の「暴力団員疑惑」は、かねてから政界で問題視されていた。当事者の野田氏の夫・文信氏は、2018年に「同氏は暴力団員だった」などと報じた『週刊文春』に対し、「事実無根」として東京地方裁判所に発行元の文藝春秋を提訴し、判決待ちの状態が続いていた。
しかし、事実関係をほぼ認定した1審判決を受けて、2審の東京高裁は2月3日、「1審原告が過去において京都の指定暴力団『会津小鉄会』傘下の『昌山組』に所属していたことは真実であるというべきである」と、1審より踏み込んだ判決を下した。
野田氏は昨年9月の総裁選に出馬し、現在は岸田内閣の実質的ナンバー2。しかも地方創生相と兼務の少子化対策担当相として、首相の目玉政策の1つの「こども家庭庁」創設を主導する重要な立場だ。
岸田首相も政権発足時の組閣の際は、野田氏の夫の問題に神経を尖らせ、野田氏の閣僚起用を逡巡する場面もあったとされる。それだけに、「夫が過去に暴力団員だった」とする2審の厳しい判決は、野田氏の政治生命にもかかわる重大問題で、今後の展開次第では、政権全体への手痛い打撃となる可能性は少なくない。
そうした中、いずれの疑惑もいわゆる「文春砲」が震源地だったことについて、多くの政界関係者は「誰がリークしたのか、その目的は何かがまったく見えない」と当惑を隠さない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら