参院選へすきま風「自公連立」漏れ出す不穏な本音 公明党は“下駄の雪"脱皮を進める可能性も
「風雪に耐えて築きあげた」はずの自民、公明両党の連立関係が曲がり角を迎えている。岸田文雄政権の命運を左右する7月参院選に向けた両党の選挙共闘ですきま風が吹いているからだ。
2016年参院選から定着したのが、選挙区候補を互いに推薦し合う「相互推薦」という戦術。しかし、今回は自民が一部選挙区で難色を示して決着を先延ばししたことで、公明がいらだちを募らせ、「ご破算となる可能性」(自民選対)が強まる。
そもそも衆参国政選挙での自公共闘は、与党勝利の前提条件ともいえる。特に自民にとって、創価学会という強固な全国組織を持つ公明の選挙支援が、自公連立による「巨大与党」継続への命綱となっていた。それだけに、今回の公明党の厳しい対応について、自民党内からは「公明の支援がなければ参院選勝利はおぼつかない」(選対幹部)との悲鳴も漏れる。
細くなった自民首脳と公明党のパイプ
その一方で、自民保守派からは、憲法改正や安全保障政策で自民を牽制し続ける公明に対する不満などから、関係見直しを求める動きもある。その背景には、昨秋の衆院選で公明を抜いて第3党となり、自民以上に改憲に積極的な日本維新の会との連携強化もちらつく。
岸田文雄政権誕生で、岸田首相をはじめ自民首脳と公明党とのパイプは細くなったとされる。自公連携のキーパーソンだった二階俊博元幹事長や菅義偉前首相が、政権運営から遠ざかったからだ。
1999年に始まった自公連立はすでに20年が経過。3年あまりの民主党政権時以外は、連立与党として協力し、離れようがない密接な関係となった。ただ、その間自民への追従を強いられ、「下駄の雪」と揶揄された公明側には、「このままでは党の未来がない」との不満も蓄積していた。
このため、7月の参院選での相互推薦協議の結末は、連立与党の枠組みに大きな影響を及ぼしかねない。ただ、立憲民主党を軸とする野党の選挙での結束は乱れるばかりで、結果的に参院選が与党勝利となれば、岸田政権にとって、次期衆院選までの「黄金の3年」が現実味を帯びる。
そうした状況だからこそ、今回は自民、公明両党の本音がにじみ出たともみえる。長年自民党政権の錨(いかり)となってきた公明党が怒(いかり)に転ずれば、今回のあつれきが一過性のすきま風では終わらず、連立崩壊への序章となる可能性も否定できない。
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