ロシアと中国。大陸国家である両大国が外へ出ようとしている。
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2月下旬にロシアがウクライナへ軍事侵攻したことで、改めて地政学が注目されている。地政学とは、英国の地理学者であり政治家でもあったマッキンダー(1861〜1947年)が事実上の開祖とされる学問だ。
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これは、海洋国家である英国から見ると、欧州の運命はユーラシア大陸内部の勢力が変動することによって左右されるという考えを起点としたもの。マッキンダーはユーラシア大陸の心臓部を「ハートランド」と名付け、ここを制覇しようとする大陸勢力と、これを制止しようとする欧州の沿岸地帯がせめぎ合っているとみた。
ロシアは伝統的に、敵対する勢力と直接対峙することを好まず、その間に緩衝地帯を置いてきた。今回のウクライナ侵攻も、ロシアの地政学的行動から読み取れるだろう。91年にソビエト連邦が崩壊して東西冷戦構造が崩れた。ソ連構成国のうち、カザフスタンなど中央アジアはロシアとの政治的・経済的な関係が保たれている。
ところが、東欧ではポーランドをはじめかつての衛星国がロシアから離れ、西側の軍事機構であるNATO(北大西洋条約機構)や、EU(欧州連合)への加盟が進んだ。ロシアにとってはそれまでの緩衝地帯が崩壊し、敵対勢力が目前に来ているという危機感があった。
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マッキンダーはユーラシアを起点とする国際関係を地理的に分析。ユーラシア大陸の心臓部を「ハートランド」と名付け、ここの制覇をめぐって、大陸勢力と、これを制止しようとする欧州の沿岸地帯の勢力とがせめぎ合いを続けていると考えた。
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