候補人材のリスト「タレントプール」を作ろう 産業革新機構の取り組みに学ぶ

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活動内容は、出資がすべてではありません。同機構の戦略投資グループ マネージングディレクターであり健康・医療チームリーダーの芦田耕一さんは、「人材の流動化や新産業の創出のすべてに関わってくるのが産業革新機構」と説明します。

リスクマネーが不足する領域に集中的に投資

戦略投資グループマネージングディレクターの芦田耕一さん

産業革新機構の戦略投資グループは、産業やライフスタイルを一新する可能性のあるビジネスモデルや技術を有するベンチャーに投資を行うため、2012年に設立されました。

さらに、今回の話の主軸である健康・医療チームは、2014年4月に新設されたばかり。革新的なバイオ医薬品や医療機器などのベンチャーに投資をするための専門チームです。

「日本には、iPS細胞に代表される革新的な技術を生むポテンシャルが存在しています。しかし、それを研究成果で終わらせることなく、実際の製品として花開かせるためには多額の費用や高度な知識が必要です。革新的ゆえにリスクも高く、大手企業が手を出しにくい分野でもあります。このギャップを埋めるのが、バイオベンチャーと呼ばれる存在。最終的な製品の製造販売は大手企業にバトンタッチされるかもしれませんが、研究開発の初期段階をバイオベンチャーが担うことで、より迅速かつ柔軟性をもって開発が進みます。我々は、バイオベンチャーに投資したり、優秀な人材にそのバイオベンチャーの存在を知らせて知恵のネットワークを構築したりしていく活動をしています。」(芦田さん)

リーマンショック後の日本は、投資が減少傾向にあります。一方で、iPS細胞の作製法を発見した山中伸弥教授のノーベル賞受賞など、ライフサイエンス分野への関心は高まっています。

「きらりと光るシーズは、日本にもたくさんある。それらをきちんと事業化していく仕組みが必要」と芦田さん。民間のベンチャーキャピタルが投資しきれない領域に集中的に投資を行い、そこに優秀な人材を入れることで研究開発を加速させ、上場やM&Aによって投資を回収する。バイオベンチャーがより役割を発揮することで、ライフサイエンス分野の事業化エコシステムを形成し、革新的な技術の実用化を後押しするのが産業革新機構なのです。

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