候補人材のリスト「タレントプール」を作ろう 産業革新機構の取り組みに学ぶ

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「産業革新機構に行って話を聞くことを何度か繰り返し、社会的なインパクトが大きく、貢献度の高い事業だということを確信しました。ラボのなかではiPS細胞から血小板を作ることができても、それを人間に投与する品質にまで高めるのは一筋縄にはいきません。技術と薬事の壁を突破しないと、製品として出すわけにはいかない。そこを進めるのに私の経験が活かせるのであればぜひと思いました」

小さいとはいえ会社として動き出した以上、あらゆる活動の執行責任の重さを感じていると、赤松さん。ベンチャーは挑戦の連続であり、大手企業では学べない経験を積めることが魅力だと話してくれました。

「人材」は、スタートアップ企業の唯一の武器

経営に不可欠なリソースとして、人、物、金の3つがあると言われています。では、スタートアップ企業が大切にすべきリソースは何か。僕は、なによりも人であるべきと考えています。

というよりも、スタートアップ企業が勝負できるのは、人しかありません。業界の巨人たちに比べたら、物や金が不足して当たり前。それでも巨人と戦うためには、人の能力や生産性をフルに活用するよりほかありません。

だからこそ、僕は「事業は人なり」という言葉を信じています。経営陣は、自らの事業戦略と合致する人材を、自ら巻き込むことが大切だと考えています。

とはいえ、スタートアップの経営陣は、開発を成功させることに精いっぱいで、採用のオペレーションにまで手が回らないこともあります。そんなときに活躍するのが社内ヘッドハンターなのです。

産業革新機構において、投資先が必要とする人材を探して紹介するという、ヘッドハンターのような役割を担う組織戦略室長の千葉大介さんも、このように話しています。

「ヘッドハンターは、経営トップのラリーの相手をするようなイメージです。トップと人材に関して対話をしていくことにより、トップ自身が事業のどの部分を支えるどういうスキルの持ち主が欲しいのかなどを整理することができます。ファンドという立場からすると、人材の議論を通じて投資先の課題が見えてくるというメリットもあります」

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