インド合弁解消で見たホンダ2輪戦略の凄み
その先にあるのはグローバル供給拠点
今後ホンダはHMSIの生産能力アップを急ぐ。HMSIはインド北部、デリー郊外に生産能力155万台の工場を有するが、そこから約40キロメートル南に第2工場を建設中だ。当初2期に分けて60万台ずつ増強の計画だったが、今回の合弁解消を受け、一気に120万台分の能力を拡充する。すでにインド南部を中心に、第3工場の建設も検討している。
開発体制も強化する。ヒーローとのすみ分けがなくなり、今後はボリュームゾーンの100�のモーターサイクルを自社ブランドで手掛ける。課題の販売網構築のため、4月に新組織を立ち上げる。
さらにインドで期待されるのが世界の供給拠点としての役割だ。ホンダの2輪車戦略は、現地化の枠を飛び越え、最もコストの安い国で生産し、世界で販売する戦略に移っている。第1弾がタイで生産、昨年投入したスクーター「PCX」だ。相場より2~3割安い価格で、日欧では計画の倍を超えるヒットとなった。第2弾の「CBR250R」も投入済みで3月からインドでも生産する。
今年は中国で開発した125�クラスの低価格車をアフリカのナイジェリアで販売する。ナイジェリアでは中国勢が強いが、ここ2~3年、都市部でインドメーカーのバジャジ・オートが席巻、ホンダはバジャジ並みの低価格を目指す。これから中国に続きインドでも、グローバル戦略車の生産が加速することになる。
その前提としてホンダは少なくとも20年までに、インドでのシェアトップを目指す。合弁解消で一時的に収益低下も懸念されるが、ヒーローからのロイヤルティがすぐになくなるわけでなく、その間にHMSIの能力を増強するシナリオだ。
「4輪と違い、2輪は経営のミスがないかぎり、世界で負けるはずない」(大山専務)。強気のシナリオどおり、事は進むか。急成長するインド市場で、今まで以上に経営のスピードが求められるのは間違いない。
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(並木厚憲 =週刊東洋経済2011年1月29日号)
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