インド合弁解消で見たホンダ2輪戦略の凄み
新興国企業にキャッチアップされる日本勢。ここ数年、当然のように繰り返された構図が、ある案件で塗り変わろうとしている。
昨年12月。ホンダはインドで展開する2輪車合弁事業の解消を発表した。ホンダは自社の持ち分26%のすべてを、合弁相手である現地財閥、ヒーローグループに売却する。
2輪車メーカーにとって、インドは最重要市場と言っていい。2010年には販売台数が初めて1000万台を突破(下図)。現在インドは中国に次ぐ世界第2位の市場だが、人口増加率から中国を抜くのは確実とみられ、20年には2500万~3000万台市場に成長する、との見方もある。安価なコピー製品が横行する中国とは異なり、メーカーには安定的な利益も出しやすい。
合弁企業のヒーローホンダは、インドで4割以上のシェアを誇る(下図)。設立は1984年。市場で半分以上を占める排気量100�クラスの低価格モーターサイクルを得意とする。ホンダは99年、単独で全額出資の2輪子会社(HMSI)を設立したが、HMSIはスクーター中心という形ですみ分けてきた。