インド合弁解消で見たホンダ2輪戦略の凄み

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 10年3月期のヒーローホンダの最終利益は223億ルピー(約400億円)。持ち分法とはいえ、ホンダの利益を100億円以上押し上げた。ホンダには販売台数に応じたロイヤルティや配当も入る。これだけ優良関連会社のヒーローホンダとの関係を、なぜ今、ホンダは捨てるのか。

「新興国メーカーに負ける理由がない」

今回の合弁解消はヒーロー側の事情が大きい。同グループは2輪車の輸出拡大を計画し、“インド国内のための合弁”という位置付けから脱し始めていた。26年間に及ぶ合弁でノウハウも獲得。14年に迫るホンダとの技術供与契約の更新を待たず、独り立ちを選んだ。

今後ヒーローは独自ブランドを立ち上げ、ホンダにとっては強力なライバルとなる。絵に描いたような新興国メーカーの台頭。が、こと2輪車に関しては、ここからが異なる。

ホンダは世界で1700万台超を販売する、2輪車のトップメーカーだ。アジア進出は早く、タイでは67年に生産を開始。中国にも92年に生産子会社を設立している。現地では地場のサプライヤー(部品会社)を地道に開発し、インドでの現地調達率はほぼ100%に達する。

つまり調達・生産というインフラ面で、ホンダは現地の競合メーカーと同じ構造を持つ。しかもホンダには世界トップの「量」がある。2輪車事業を統括する大山龍寛専務は「オペレーションコストはかかるとしても、モノ作りのコスト競争で負ける理由がない」と言い切る。

一方の新興国メーカーは、自国から飛び出した途端、現地生産拡大や環境規制対応など、新たなハードルを抱える。実はかつて台湾でも、ホンダと合弁パートナーだった現地企業が単独で海外進出を目指したが、結局頓挫した経緯があった。

ヒーローグループに対しても、大山専務は「製品を一から開発するのはまだ難しいのではないか」と分析する。今回の合弁解消の裏には、こうしたホンダの冷徹な判断がある。

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