やっぱり、ビジネススクールに通いたかった。マックスマーラを着こなすイケイケキャリアウーマンになりたかった。キャリアウーマン……それは未知の世界。働く企業は今をときめく外資系、扱う内容はグローバルなサムシング……もしくは、愛されモテメイクの似合う大企業の広報でもいいかもしれない。妄想の中の私は、顔にも120%補正がかかっている。
しかし、当然ながら、イケイケキャリアウーマンになるためには、なりたいと願っているだけでは無理なのだ。もし明日、運良く転職できたとしても、何の特技も持っていない今の私では、3日で戦力外通告されるのがオチである。そこで妄想終了。急に現実に戻る。早急に、足りない知識を補う必要がある。そのためには勉強スペースが必要だ。今は折り畳みの小さな机を使っているが、パソコンを置くとそれでスペースが占拠され、とてもじゃないけどノートや本など置けない。そんなことでは駄目な気がした。
出費は痛かったけれど、1万円ほどのもう少し大きくて頑丈な机を買い、勉強スペースを作った。その隣に新しい棚を買い、ファイル類が入るスペースを作った。
本棚を捨てたあたりから、がぜん、作業に勢いが出てきた。未来は自分で引き寄せなきゃ、という変なホルモンが分泌され始めたのか、ハイテンションの状態で入学願書を提出した。
安っぽい家具や服が一掃され、新たに勉強用の机が納入されたわが家に、大学院の合格通知が届いた。私は近所の無印良品で同じ規格のファイルとファイルボックスをいくつか購入し、これからわが家に増えていく予定の教材たちのスペースをあらかじめ確保した。同じ規格のものがずらっと並ぶさまは、爽快だった。
汚部屋出身者がきれいな部屋をキープする秘策
最初はきれいな生活スペースを確保するのに躍起になるが、慣れというのは怖いもので、徐々に規律正しいわが家が崩れてくる。あっという間に本が積み上り、紙類が散乱する。衣類もしかり。毎日洗濯するインナーはまだいい。洗濯の頻度が低いパンツやアウターなんかは、そのままクローゼットの仮置きスペースに積まれたままになる。ひどいときはベランダに何日も干しっぱなしで、出勤前、直接そこから選んで着ることもあった。
それでも、最初に物の数を減らしていたのは得策であった。物が帰る場所がきちんと用意されているからである。勉強関係の本は増えたが、そのための棚のスペースは確保していたし、服も、大量グッバイして一時的に買い足して以来、ほとんど増えていなかった。忙しくなったおかげでショッピングに行く余裕もなかったのだ。おかげで衣替えも必要なく、すぐに必要な服にリーチすることができた。
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