「大規模居酒屋は最大の危機を迎えている」。2021年11月の中間決算説明会で、居酒屋大手・ワタミの渡邉美樹会長兼社長は神妙な面持ちでそう語った。本来であれば、これからの回復シナリオを描いた中期経営計画を同日発表するはずだった。だが、あまりにも先行きが不透明であり、発表は見送らざるをえなくなった。
年初から緊急事態宣言が発令されるなど、21年は外食産業にとって「コロナ一色」の1年だった。持ち帰りに強いマクドナルドなどの洋風ファストフードは絶好調な一方、店内飲食が中心の居酒屋やレストランなどは客離れに苦しんだ。感染の拡大に伴い営業時間の短縮要請は長期化した。東京都の場合、要請にすべて応じた飲食店は20年11月末からの約11カ月間、通常営業ができなかった。
資本増強に動いた企業は後を絶たない。ワタミは21年5月に日本政策投資銀行が設立したファンドから約118億円を調達。業界大手のすかいらーくホールディングス(HD)やコロワイドも公募増資などでそれぞれ最大426億円、185億円を調達した。
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