津田大介氏「反響を恐れず全力で発信せよ」 SNSで気を使い過ぎる人たちへ

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原田:ツイッターを使う若者の中には、鍵をかけて友達同士で話すという内輪的な使い方にとどまっていることも多い。新聞もあまり読まなくなって、有益な情報を何か別の方法で集めているかというとそうでもない、といった印象を受けます。

津田:得たいと思った情報を得られるようになったからか、タコツボ化しているという部分はありますよね。情報って自分が行動するための材料として使うべきなのですが、今は情報が増えている一方で、意外と行動できる人間が少ない。

だから、ソーシャルメディアを使いこなして行動できる人間は強いですよ。今後、すごい優秀な人たちが社会で成功するまでの時間は短縮すると思いますね。昔だったら、一部の優秀な上澄みや、偏差値だけではない本当に能力の高い人間を社会が受け入れる環境がなかった。だから成功するまで5年くらいかかったと思いますが、今のこの情報環境なら1~2年で進化できます。

たとえば、ニュージーランド地震の際、当時、カンタベリー大学に在学中だったサム・ジョンソンという学生が、フェイスブックでボランティアを呼びかけたら2000人くらい集まったんですよ。大学生ってうるさく騒ぐし、社会の役に立たない存在だと地元から嫌われていたみたいなのですけど、その一件があってから、「未来のこの地域を担うのは彼らだ」と評価が変わったというのです。

周囲の反応が気になって仕方ない若者たち

原田:世界中でそういった事例があるのでしょうね。一方で日本の一般的な学生は、自分の書き込みに対する友達の反応が過剰に気になり、不安で、自分のキャラを守りつつ書き込まないといけない、というプレッシャーを感じているようです。

津田:昔は、自分のキャラを気にすることなんてなかったですよね。でも、「普段はおバカキャラだけど、実はこういう点ではしっかりしている」とか、逆に「普段は堅物だけど、実はプロレス好き」とか、人間の多面性がわかる点がツイッターの面白いところです。

原田さんと話している僕、親と話している僕、奥さんと話している僕――キャラというのは誰かとの関係性でしかありません。でも、キャラ以外の自分もあるということを吐き出せる場所があり、多面的に理解してもらうということは絶対に重要なことだと思います。だから、僕はアカウントを分けるのはあまり推奨したくないかな。

原田:多面性を見られたくないし、周りの対応がどう変わっていくのかが怖くて踏み切れないのでしょうね。

津田:怖くても絶対やったほうがいい。キャラを気にしすぎると最終的にキャラに飲まれて自分がなくなりますから。自分が考えていることって、自分でもわかってなかったりしますよね。言葉にして人から反応があり、初めて「そうだったのか」と気づいたりします。今は昔と違ってそれがネットでできるのだから、活用するべきだと思います。具体的には、まず情報をインプットするだけでなく、アウトプットと両方やっていくことですね。

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