津田大介氏「反響を恐れず全力で発信せよ」 SNSで気を使い過ぎる人たちへ

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原田:インプットだけに なってきている子も多いですよね。そもそも一般の人は、そんなにつぶやくことなんてなかったりする。それに比べ、写真は撮って載せればいいだけだから、 今、インスタグラムがすごい勢いで普及し始めていますね。「何をつぶやけばいいですか?」と若者に言われたら、津田さんは何て返答しますか。

津田:誰もが1個くらいは好きなことがあると思います。たとえば、この人と会ったときにこれが印象に残ったとか、あの言葉がよかったとか、何でもいいわけです。それを書いていくのがアウトプットです。

原田:では、「何のために書くのですか」と聞かれたら?

津田:人が喜ぶからですよね。自分の知ってることは教えたくなるじゃないですか。ネットを使わなくても、「こうなんだよ~」と言ったら、「へえ~そうなんだ」と返ってくるのは楽しいですよね。僕はそれをネットでやっていて、「たぶん、この人だったらたくさん『へえ~そうなんだ』をくれる」と思うから、みんながフォローしてくれているのだと思います。

原田:なるほど。趣味があるとアウトプットしやすいですけど、最近、無趣味な子も増えている気がします。なぜならすごく忙しいから。僕が月に1回、大学生などを集めてミーティングをやるんですけど、学生たちとまず予定が合わない。なんで学生が1カ月先の予定まであるの?と思いますけど(笑)、人間関係層というかコミュニティがすごく多くなってきてるので、忙しくなっているみたいです。

情報発信することを、恐れてはいけない

津田:要は、趣味をコミュニケーションに巻き取られちゃったわけですね。

原田:完全にそうですね。

津田:実は、みんなコミュニケーションを欲していたということなのでしょうか。

原田:欲していたというより、ソーシャルメディアによって人と人が必然的につながるようになり、大量のコミュニケーション義務が生まれている、と言ったほうが正しいかもしれません。もちろん、その状況は、若者にとって、喜びのときもあり、苦しみのときもあり、両面があると思いますけど。

いずれにせよ、ソーシャルメディアが普及し、それによってたくさん面倒なことが生まれているのは事実ではあるものの、それに過剰にビビらず、「若者よ、全力で発信しようよ」という津田さんのメッセージはすてきですね。

僕も同じ意見です。情報発信すれば、もちろん、時にバッシングもあるかもしれませんが、自分と本当に合う人と出会えるかもしれない。自分の意見を更に深めてくれるような意見に出合えるかもしれない。

僕も津田さんもメディアを通して多くの方に情報を発信することで、嫌な思いをすることも多々あるでしょうけど、でも、それでしか得られない情報ってありますよね。自分自身をさらすのは、たいへん恐いことでもありますが、その恐さに打ち勝つことこそソーシャルメディアを有効活用することで、そうじゃないと、ソーシャルメディアを使う意味はあまりないかもしれませんね。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

(構成:佐藤ちひろ)

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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