国家や人権は「虚構」 ハラリ氏大著を読み解く ビジネスにも生きる大局観

✎ 1〜 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20
拡大
縮小

人類の過去についての物語である『サピエンス全史』に続き、その未来についての物語を『ホモ・デウス』で描いたユヴァル・ノア・ハラリ氏。2つの大著に通底するその問題意識について、両著の翻訳を担当した翻訳家の柴田裕之氏に聞いた。

全世界で800万部以上売れている『サピエンス全史』。世界中の経済人が激賞している。(河出書房新社/300ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

特集「データ階層社会」の他の記事を読む

読書の魅力は自らの先入観や固定観念、常識が覆され視野が広がることだが翻訳も同じだ。私は『サピエンス全史』『ホモ・デウス』両著の翻訳を通して、そうした体験を繰り返した。

『サピエンス全史』はかつてアフリカ大陸で細々と暮らしていたわれわれ現生人類(サピエンス)が、21世紀までたどってきた道のりを振り返る。サピエンスが地球を支配するに至ったのは、多数の見知らぬ者同士が協力し、柔軟に物事に対処する能力を身に付けたからだと著者は言う。

これを可能にしたのが「虚構」、すなわち架空の事物について語れるような想像力だ。虚構とは伝説や神話にとどまらない。企業や法制度、国家や国民、さらには人権や平等、自由まで虚構だと筆者は指摘する。こうした虚構を作り替えればすぐに行動パターンや社会構造も変えられるので、サピエンスは遺伝子や進化の束縛を脱し、変化を加速させ、ほかの生物をしのぐことができたという。

関連記事
トピックボードAD
トレンドライブラリーAD
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
データ階層社会
参考になる一方で悩みを深めることも
GAFAにあらがう(2)欧州
GAFAにあらがう(1)米国
顧客評価で事実上の解雇も
AI時代に不可欠な再分配論
新たな在留資格を設定へ
データ階層社会をどう生きるか(2) 野口悠紀雄
データ階層社会をどう生きるか(1) 橋田浩一
治安|広がるAIの犯罪予測
教育|AIによる学習順指南も
医療|焦点は遺伝情報の取り扱い
恋愛・結婚 |普及する恋活・婚活アプリ
就職|最後は人間の目が必要
Interview|『AIと憲法』編著者 山本龍彦
着実に進む「格付け社会」化
中国リポート
シンガポール ルポ
国家や人権は「虚構」 ハラリ氏大著を読み解く
ビジネスにも生きる大局観
Interview|『ホモ・デウス』著者 ユヴァル・ノア・ハラリ
データ階層社会
あなたもAIに選別される
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
東洋経済オンライン有料会員のご案内