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「データを個人に取り戻す」 データ階層社会をどう生きるか(1) 橋田浩一

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「データを個人に取り戻す」

はしだ・こういち●1981年東大理学部卒、86年同大学院博士課程修了。理学博士。2013年から現職。17年から理化学研究所革新知能統合研究センターチームリーダを兼任(撮影:尾形文繁)

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今議論されている、個人のデータを管理し企業に提供する仲介業としての情報銀行業は、ビジネスとして成り立たせるのが難しい。多めに見積もってもこうした情報銀行業の市場規模は5000億〜6000億円程度にとどまる。しかも顧客のデータを預かるリスクを管理するコストを考えると、あまり儲からないだろう。

そうはいっても情報銀行業が立ち上がろうとしているのは悪いことではない。自分のデータを集めて活用しようという人が仮に国民の5%でも出てくれば、彼らをコアにして先に進むことができる。情報銀行業に取り組んでいる事業者もそれは十分わかっているはず。今のモデルはほんの足掛かりで、早期に次のステップに行かなければとの問題意識はあるだろう。

次のステップとして、信用スコアのビジネスを考える事業者が出てくることは、両者の親和性からも理解はできる。ただ、信用スコアのような情報は本人のコントロールを離れて独り歩きしやすい。関連のデータをすべて本人が把握できるような設計を緻密に考えていかないと、さまざまな問題が生じる懸念がある。

私が考える次のステップとは、データはあくまで個人の手元に置いたまま、人工知能(AI)を活用し個人のニーズと商品やサービスとのマッチングを行うことだ。情報銀行業は、個人のために情報を取り戻すと同時に、マッチングのためのアプリを個人に提供し商品やサービスのカタログをそろえる、いわば販売代行業になる。期待することができる市場規模は、圧倒的に大きくなるはずだ。

(聞き手・本誌:風間直樹)

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