遺伝子の状態を、体に傷をつけずに画像だけで解析できるようになるかもしれない。
産業技術総合研究所の瀬々潤・招聘研究員は、磁気共鳴断層撮影(MRI)による脳腫瘍(しゅよう)の画像と遺伝子解析の結果を人工知能(AI)に読み込ませてきた。AIは「学習」を重ね、最近は画像だけで遺伝子の変化を予測できるようになったという。
「これまでは頭をパックリと開けて腫瘍部を取り出し、やっと遺伝子解析ができた。今後は頭を開けずに画像だけで解析ができ、患者に最適な治療法を提示できるようになるかもしれない」(瀬々氏)
脳腫瘍を取り出す手術は時に神経マヒなどの後遺症を残す。画像だけでの遺伝子解析が可能になれば、手術せずに最適な治療の判断ができるようになる。患者の心身への負担も軽減できる。
国立がん研究センター研究所の加藤護・部門長は、約40種類のがん患者約3000人、約2万2000種類の遺伝子の変異と生存率のデータをAIに学習させてきた。その結果、「肝細胞がんでこの遺伝子に変異があると、3年後の生存率はおおよそこのぐらい」といった予測が立てられるようになってきた。
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