三品和広 神戸大学大学院 経営学研究科教授
高収益事業の共通点を探るため、著書『高収益事業の創り方』で、1805社、約3000に及ぶ事業セグメントの分析を行った。収益性の高い事業の例をたくさん集めることで共通するパターンを探る、帰納的な試みだ。
2000~09年度の10年間を対象に、6期以上で一貫したデータを入手でき、かつ8期以上の年次決算で売上高営業利益率が10%以上となった事業を「成功例」とした。成功例は全体の5%に当たるたったの151。これが日本企業の実力だ。
製品・管理の次元での“戦略”は行き詰まる
成功例に共通している点は一目瞭然だった。「事業立地」がよいということだ。仕事の仕方の工夫や製品開発ではなく、そもそも「何屋さんをやるか」の選び方が優れている。
事業立地の考え方では、ある市場の中でどこにポジショニングするかよりもむしろ、そもそもどの市場を選ぶかが重要になってくる。
たとえばチョコレート菓子の製造・販売というB to C市場を想定しよう。一般的には、そのB to Cの市場の中で子ども向けの菓子を売るか、大人の女性向けの菓子を売るかといった位置取りが議論される。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら