サントリーホールディングスの新浪剛史社長などとともに「プロ経営者」の代表格とされるのが、LIXILグループの藤森義明社長だ。米ゼネラル・エレクトリック(GE)でアジア人初の本社副社長に上り詰めた後、創業家の潮田洋一郎・前会長(現取締役会議長)に請われ2011年に就任した。
国内では住宅設備最大手ながら、世界的には知名度ゼロだったLIXIL。この内需企業をグローバルに成長させるために藤森社長が邁進したのが同業買収だ。約5000億円を投じ、ドイツの水栓老舗グローエや米国の衛生陶器最大手アメリカンスタンダードといった名門企業を次々と傘下に収めた。数%だった海外売上高比率は、2割超まで伸びた。
ところが今春、買収した中国水栓メーカー・ジョウユウに不正会計が発覚。現地で大きなシェアを持ちコスト競争力も備えた優良企業とされていたが、実際は債務超過であり、5月に破産を申し立てる顛末に。LIXILが被った損失額は660億円に上った。
過去にも別の買収子会社の不採算受注が業績を下押しした経緯があり、「M&Aによる成長戦略に対し、株式市場では疑問が生じ始めている」(野村証券の福島大輔アナリスト)との声が出ている。そしてこの疑問は、国内競合のTOTOと比較するといっそう色濃くなる。
買収よりも自力で立ち上げるほうが早い
水回りから建材まで総合的に手掛け、さらに同業買収で膨脹したLIXILと比べると、水回り専業のTOTOの年商規模は3分の1しかない。だがこの企業を、株式市場はより高く評価している。藤森社長の就任でLIXILの株価は上昇したが、TOTOの上昇率はもっと顕著だ(図表1)。確かに売上高と海外売上高比率以外の多くの経営指標でTOTOはLIXILを上回り、より実のある経営という印象だ(図表2)。
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