マーケティングの第一人者フィリップ・コトラーの『マーケティング・マネジメント』をはじめ、多くの教科書に出てくる典型的な欧米企業のマーケティングは「R─STP─4P」という一連のプロセスで進められます(図表1)。
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マーケティング部門がマーケティングリサーチ(R)を行い、市場の情報を収集、分析。この結果に基づき、市場を細分化し(セグメンテーション:S)、ターゲットを絞り込んで(ターゲティング:T)、製品を差別化(ポジショニング:P)します。この基本戦略を基に製品、価格、流通、販売促進の戦略の組み合わせを考えるマーケティングミックス(Product、Price、Place、Pro-motionの頭文字を取って4P)を策定し実行に移すという流れです。
一方で、典型的な日本企業にはマーケティング部門は設置されず、その機能は商品企画や広告宣伝、営業などの部門に分散しています。強い権限を持つCMO(マーケティング最高責任者)がいないため、製品、価格、流通、販売促進のどこに力点を置くかという戦略に、どの部門が力を持っているのかが反映される傾向があります。
新市場の創出にはイノベーションを起こす必要がありますが、このイノベーションには全社的なマーケティング戦略が必要不可欠です。にもかかわらず、日本はこの策定能力が弱い。となると、米国流をそのまま日本に接ぎ木しても意味がありません。コトラーが提唱するSTPの基本戦略を補完する「イノベーションプロセス」が必要になります。
市場に投入した後もSTPを回し続ける
私が提唱しているイノベーションマーケティングの戦略論は、現場主導型の日本企業の現実に即した理論だといえるでしょう。現場では必ずしもSTPの順序で進むとは限りません。性別、年齢などで市場を細分化し「誰に売ろうかな?」と考えて、たとえば「高齢者向け」にターゲットを限定してから、ポジショニングの段階で競合と差別化するためのアイデアが出されることもあれば、「あ! これ面白いな。どのような人に売れるだろう?」というようにアイデアが先でセグメンテーションの軸が後から考案される場合もあります。
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