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国産技術のペロブスカイト太陽電池、普及にはコストダウンに加え、「需要創出」を促す大胆な戦略が不可欠(後編)

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フィルム型ペロブスカイト太陽電池(写真:エネコートテクノロジーズ)
  • 諸富 徹 京都大学大学院経済学研究科教授
  • 尾形 清一 京都大学大学院エネルギー科学研究科准教授

INDEX

ペロブスカイト太陽電池が「日本発の次世代技術」として注目を集めている。政府が今夏に策定した「日本成長戦略」では、研究開発への支援や普及促進策が盛り込まれた。東洋経済オンラインでは2回にわたり、研究開発分野における第一人者および再生可能エネルギーの社会実装に詳しい専門家による寄稿文を掲載する。後編に当たる今回のテーマは、普及に向けての展望と乗り越えるべき課題である。

前編では、ペロブスカイト太陽電池をめぐる研究開発の最前線と、社会実装に向けたさまざまな展開可能性を論じた。これを受けて今回の後編では、ペロブスカイト太陽電池の普及・拡大、そして将来的な産業化に向けた課題を整理し、それを乗り越えるための支援政策のあり方について論じる。

ここでは、「コストをいかに下げるか」が決定的に重要な課題である。

政府は2024年に発表した「次世代型太陽電池戦略」において、GI(グリーンイノベーション)基金を活用しながら、コスト(=LCOE [Levelized Cost of Electricity]:均等化発電原価。「初期投資額(本体・工事費等)+運用保守費」を「生涯発電量」で割った「発電量単位(kWh、キロワット時)当たりのコスト」)を、30年までに14円/kWhに引き下げることを目指すとうたった。40年までに10~14円/kWh以下の自立化水準を目指すとされている。現状ではペロブスカイト太陽電池のLCOEは、シリコン太陽電池の2〜3倍、つまり20〜40円/kWh程度と推定される。果たして、目標達成は可能なのか。

ペロブスカイトの均等化発電原価(LCOE)

ペロブスカイト太陽電池のLCOEに関する最新の学術的な分析(Bhati et al. 2026)によれば、低コストの材料と製造装置を使用した場合、ペロブスカイト太陽電池の達成可能なLCOEは、約0.051ドル/kWh、すなわち約7.9円/kWh(為替換算は、1ドル = 156円想定)になるとの結果が示されている。40年時点で、ペロブスカイト太陽電池のLCOEがこの水準に下がるのであれば、十分に産業競争力を持ち得ると言っていい。

また、この試算前提が示唆するのは、ペロブスカイト太陽電池の効率が24%を超え、かつ寿命が15~20年程度の技術水準が要求されるということである。すでに商業化をスタートしたイギリスのOxford PVでは、タンデム型のペロブスカイト太陽電池の公表数値として、効率が24.5%で製品保証が10年となっている。このため、上記のLCOEの数値は、寿命が改善して製品保証の期間延長がなされた場合、十分に現実的な価格帯であることが理解できる。

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